流れは無視します。
友人の話です。
会社を辞めて10年たちますが未だに当時のメンバーで年に数回飲み会ををやります。
友人…私の後輩。現在30歳。現在は子持ち。
上司…友人の12歳上。既婚者。
働いていたころから上司と友人の不倫の噂はあった。
けど二人ともイイ人たちで皆見て見ぬふり。
はたからみても上司が惚れてるかんじがした。
上司が仕事上でキレるようなことがあっても
「ねー、カッコ悪いよ?もうちょっとスマートに抗議しなよ」
って冷たく言ってみたり、仕事が成功すれば
「さすがだね、イイコイイコ」
ってニコニコで誉める。
上司にそれはないだろー、って台詞も親しい飲み会仲間だし、友人が上司に言う分には何も問題なかった。
上司も嬉しそうだったし、上司をコントロールしてくれるぶん、私たちもラクだった。
私も友人も会社を辞めて数年たったころ、上司が倒れた。
まだ社に在籍している仲間が一斉メールで教えてくれた。
ミスです。
友人…私の後輩。現在30歳未婚。
上司…友人の12歳上。既婚者。子持ち。
です。ごめんなさい。
メールの2時間後、病室に飲み会仲間が集まった。
意識はない。
死ぬの…?って雰囲気。
泣きじゃくる上司妻と子供たち。
少し遅れて友人到着。
上司妻に軽く頭を下げるとベッドに横たわりいろんな機械をつけてる上司を黙って見つめていた。
私と仲間で少し空気読んで上司妻と子供を病室から連れ出した。
なんとなく2人にしてあげたかったんだ。
他の上司が御家族を離れた休憩室に連れていってくれた。
会社の手続きの説明だとかで。
病室のドアが閉まると友人の泣き声。
「なんでっ…!」
「私を守るって言ったのは嘘だったの!?」
「戻ってこいよ!!」
聞いていた私達まで泣けた。
そんな中、上司妻が戻ってきた。
あわてる私達。
仲間が病室に駆け込むも間に合わず。
上司妻を追いかけ、私が病室に入ると仲間も上司妻も立ち尽くしていた。
友人は上司のパンパンに浮腫んだ手を頬にあて、静かに泣いていた。
上司妻「なにしてんのよー!」
友人「静かにして」
上司妻「触らないで!」
友人「静かにして」
友人に何を言っても無駄だった。
エキサイトする上司妻。
友人を殴ったり蹴ったりする。
それを皆で抑え、友人を引き剥がし病室から逃げるように帰った。
その後、上司は亡くなった。
通夜でも上司妻の視線がすごかったが、友人は泣きもせず焼香をして立ち去った。
私達も通夜が終わり外へ出ると友人は駐車場にいた。
皆が帰り、親族も控え室に行くまで駐車場にいた。
その時に聞いた話。
「上司とは何もないよ。ただ、なんかお互いに支えあってた。
惹かれてたのかもしれない。
上司からはふざけて『結婚早まったなー、来世では一緒になろうねw』なんて言われてた。けど本気じゃないし。」
親族が控え室に戻り、係員だけになった時、友人が式場に入っていった。
ガラス張りだからすべて見える。
友人は棺に近寄ると腰を屈めて棺に顔を入れた。
たぶん、キスしてた。
私はそこまで見て帰宅した。
翌日の葬儀には友人は来なかった。
けど火葬場の駐車場の隅に友人の車があった。
たぶん見ていたんだろうね。
49日も過ぎた頃、また飲み会が開かれた。
そこに上司妻がやってきた。
一気に場は緊張!
が、上司妻は上司の携帯電話を差し出し話始めた。
「お世話になりました…
夫の携帯を見ていたら未送信のメールがいっぱいありました。
たぶん友人さんに当てたものでしょう…
友人さん、誤解してすみません。夫は友人さんに惚れてたのでしょうね。
片思いとは言え、恥ずかしいかぎりです。私も。
友人さん、この携帯は解約してあります、遺品として受け取ってもらえませんか?
そして、夫の希望であること。
友人さんが無事に人生を終えたら、夫を見つけ夫を支えてください」
深く頭を下げ上司妻は帰っていった。
私はメールを読んでないが携帯を開いた友人は泣いていた。
そして上司の一周忌近く。
友人は事故死した。
ゆるいカーブでガードレールを突き破り崖から落ちて。
私達は自殺も疑っている。
友人のバッグには上司の携帯が入っていたし。
友人の新盆がきたので書いてみた。
不倫の関係があったのかはわからない。
けど二人の間には何かがあったのだろうと思う。
おわり。
書いてみると修羅場っぽくないけど私独りでドキドキしたり怖がってたりした。
友人は常に冷静でいたような気がするな。
肉体関係がなけりゃいいってもんじゃない。
そんなに好きなら離婚して友人と結婚すりゃよかったのに。
>私と仲間で少し空気読んで上司妻と子供を病室から連れ出した。
>なんとなく2人にしてあげたかったんだ。
俺が喧嘩10段だったら私となかまを殺すな