>>1当時二十歳♀
医者 五十半ばくらい?
会長 某大手水産会社の会長 年齢は分からないけど爺
ありがとう
wifi調子悪くてID変わったかな?
自分は母子家庭で、五人兄弟。
高校で必死にバイトと勉強をして地元ではそこそこ難関で有名な大学に入った。
成績が良かったから返済不要の奨学金ももらえた。
大学生になってバイトも時間を増やせた。
それでも生活は楽にならない。一番下は小学生の妹、当然お金はかかる一方だった。
水商売も経験した。授業に響かない程度に沢山バイトをいれた。
私大だから授業料は一年で100万近く、それに兄弟の生活費。
母のパートと私のバイトでは賄えなくなっていた。
そのストレスで母は私をよく責めるようになった。
お金が足りないこと、水商売に手を出したこと。
どうすればいいのか分からなかった。
そんな時、家庭教師を始めることになった。
イカされた訳ではないがお気に召すだろうか。
家庭教師先として辿り着いた家は正しく豪邸だった。
インターホンを鳴らすと身なりの整った小綺麗なおじさまが顔を出した。
先生ですね、愚息ですがどうぞ宜しくお願い致します…
貧しく、両親はお互い不倫に夢中でろくに躾も受けてこなかった私は気が引けた。
品性って初見でも痛いほど感じるよね。
愚息、と紹介されたが息子さんは充分すぎるほど努力家で聡明な子だった。3つ程しか歳は変わらない。
ノート一杯に書かれた予備知識を前になぜこんな子が家庭教師を、と教えるのを躊躇った。
90分はあっという間だった。
「先生、食事でも如何ですか?」
先程のおじさまが手招きをした。
おっさんではない(´・ω・`)
リビングに向かうと、既に食事が整っていた。
お寿司だった。
息子のA君が「こんなもので申し訳ありませんが」と謙遜した。普段何を食べているんだ…
食事を摂りながら聞かれるがままに自分の話をした。
父親がいないこと。兄弟が沢山いること。沢山勉強したこと…
おじさまもA君も終始頷きながら話を聞いてくれた。
無事に家庭教師の契約も結べ、お腹一杯になって帰宅した。
余談だが家のなかにエレベーターがある光景が忘れられず大学の友達に話したら「うちにもあるよ?」と返ってきた。
その週末、派遣のバイトでホテルの清掃に向かうことになった。
ホテルに着いて色んな指導を受けて清掃に取り掛かった。
婚礼によく使用される有名なホテルで初めて足を踏み入れたことに感激した。
「ちょっと、この靴の汚れを取れる場所知らない?」
不意に白髪のお爺さんに声を掛けられた。
「昔はそこらに靴磨きってのが居たんだけどね」
よく見ると鳥の糞が靴にべったりだった。
「お取りしますよ」
洗剤と歯ブラシで擦ると糞はあっさり取れた。
お爺さんは目を丸くして「女の子にこんなことさせて申し訳ない、ありがとう」と封筒を手渡して去った。
封筒には12万円入っていた。
実話なんだ
返そうにもどこの誰だか分からない。
いつ会えてもいいようにそのまま持ち歩いた。
それから平日は家庭教師、週末はホテル清掃に勤しんだ。
父親がいないことを知って以来、家庭教師先では頻繁に食事に連れていってもらった。有名なフレンチ、和食、どれも一人では手の届かないレストランだった。
本当に良くしてもらった。
読みづらくてごめんね
2ヶ月ほど経って、ホテル前でまたあの白髪のお爺さんに再会した。
お金を返す機会だと駆け寄った。
「あの、以前靴を掃除したものですが」
ああ、と笑ってお爺さんはお辞儀をした。
「あの時はありがとう」
「いえ、あの、お金を返したいんです」
「大した額じゃないからくれてやるよ」
お爺さんはまた封筒をくれた。
というか、一方的に封筒を押し付けてまたどこかに行ってしまった。
今度は名刺が入っていた。
某水産会社の会長だということ、彼のものであろう電話番号とアドレス。
その夜早速連絡をいれた。
ありがとう、うpは後で考えるね!
電話をしてもいいものか分からなかったからとりあえずメールを作成した。会長さんはauだった。
『靴磨きの>>1です。勝手に連絡をしてすみません。お金の件、せめてお礼をさせて下さい』
貧乏だったからお金を借りたり戴いたり、奢られたりすることは、真っ当な理由がないとじゃないと嫌な性分だ。よく友人には損な性格だね、と笑われる。