登場人物
A男→自分です。24歳会社員
B子→職場の同僚。25歳。うえとあや似
C夫→B子旦那様。31歳
D美→自分の嫁。28歳。コロボックル
年齢は当時のものです。
数年前、いつものように出勤したら何やら不穏な空気。自分が顔出した瞬間みんなが黙る。ちらちら見ながらこそこそ話。
なんだ??と訳わかめな俺。訳わからんままお仕事してたら上司に呼び出しくらった。
上司「…まあそこに座れ」
自分「…ハイ」
眉間にシワがこれでもかってくらい出てる。これはヤバい、かなり怒っていらっしゃる。
でも理由がさっぱりわからない。
自分「あの、どういったご用件で…?」
上司「お前、社内で不倫するとはどういうことだ?」
あるひーパパとーふたりでー
ってなぜかこの歌が頭んなか流れました。
俺「はいい!?なんすかそれ!?」
上司「しらばっくれても無駄だ!証拠は上がってんだ!このアンポンタンがっ!!」
ちなみに補足しとくが上司と俺は結構仲いいです。多分この時の怒りは可愛さ余って、みたいな感じだったんじゃないかしら。
俺「ちちちちがちが!絶対してないっす!できるわけないし!」
上司「相手がゲロッてんだよ!正直に言えよ、な?」
俺「ゲロなら今僕が吐きたいっすよ!なんだーもーわけわかんないー」
上司「落ち着け。いいか、相手も結婚してるんだぞ?好きになったからとかじゃゆるされないんだぞ?」
俺「上司が落ち着いてくださいよ…」
上司「お前嫁さんに悪いとは思わんのか?」
俺「俺は嫁さん大好きっすよ…悪いことなんかなんもしてませんっ!」
一瞬上司の口元が緩んだ。
上司「…本当にしてないんだな?」
俺「してませんよ…心当たりも更々ないです。てかゲロ吐いた人て誰なんですか」
上司「ん?ああ、B子だ」
びっくりしました。B子とは同僚で特段仲いい訳でもないし、携帯番号は知ってたけど業務連絡しかしたことないし。
ぽかんとする俺に上司は取りあえず職場に戻れ、と言いました。
戻って気付いたんですがそういやB子出勤していないようでした。冷たい視線を浴びながら数時間職務をこなし帰途へつきました。
あれ、まさかあの話がもう耳に入ってるとか?と思いながらリビングへ。ソファーで寝てました。
ただいま、と声をかけるともぞもぞとしてむくりと起き上がりました。
目がぱんぱんに腫れ上がってました…。
俺「なにごと!?」
嫁さん「…なにごとって…」
俺「あ…」
全てを察する自分。取りあえずアイスノンを嫁さんに手渡して話し合いを開始しました。
俺「えーと、俺も訳わかんないんだけど、話聞いたの?」
どうやら嫁さんの職場のパートのおばさんがB子旦那様(以下C夫)の知り合い?親戚?だったらしく上記の事を全部話してくれてその上「貴方も慰謝料ふんだくって別れたらいいのよ!」と言われたらしいです。で家帰ってずっと泣いてていつの間にか泣き疲れて寝てたらしい。
俺唖然茫然。
なんだか痴漢冤罪とかそういう人の気持ちでした。
言葉失ってる俺に嫁さんがぽつりと言いました。
嫁さん「その人が好きなの?もう離婚なの?」
ちょっとしか開いてない目にまたみるみるうちに涙が溜まっていきました。
自分も涙目になりながら必死でひたすら弁解?と言うか、自身もさっぱり意味不明な状況だったので、「やってない、絶対あり得ないから。俺も混乱してるけど、お前悲しませるようなことは絶対してないから!」と連呼するしかありませんでした。
嫁さんはアイスノンで顔半分隠れてたけどちょっと落ち着いたらしく、「わかった。でも正直すごく不安だから、何がどうなってるのかちゃんとしてくれるかな?」と言ってくれました。
この言葉に少し安堵すると同時に怒りが沸々とわいてきました。
プライベートな話すらロクにしていないB子となんでそんな事になってんだ?何でこんな俺を陥れるような事を?
溶けてふにゃふにゃになったのを冷え冷えのアイスノンと交換し嫁さんを寝かしつけて、B子に電話してみました。
当たり前ですが出ません。
でも脳みそ沸騰していた俺はかけ続けました。
七回目のトライで通話。「はい。」と低い声。出たのはC夫でした。
C夫「はい」
俺「〇〇さんの旦那様ですか?」
C夫「はい」
携帯から伝わるピリピリした空気。誤解とは言え浮気相手ですから仕方ないんですけどね…
俺「〇〇さんは?」
C夫「今あなたからの電話に出すわけにはいかないですね。言いたい事があるなら私から伝えますが」
俺「はい、では〇〇さんにお伝えください。何を思ってこんな事に巻き込んだのかは知りませんがとても迷惑です。あなたとは会社で少し話すくらいしかしたことありませんよね?それが浮気と言われるんでしょうか?
正直何も考えてはいませんでした。何が出来るかとかも分かりませんでしたし。
まくし立てた俺の言葉を黙って聞いていたC夫が口を開きました。
「調べればすぐにわかる事ですよ。ちなみに今の発言は録音してあります」
俺「はあ、そうですか。どうぞどうぞ。色々調べてくださいよ。探偵でも何でも寄越してください。と言うかその方が有り難いですね、私の身の潔白を証明出来ますし」
しばらくの沈黙の後電話越に何か話しているのが聞こえました。
しばらくした後「…わかりました。では明日話し合いの場を設けたいと思いますがいかがですか?」
俺「はい、早めの方がいいです。こんな訳のわからない事に巻き込まれてウンザリしてますから」
C夫「明日また連絡します」と言って電話は終了しました。
終わった後も頭がカッカしてました。人に対してこれだけ喧嘩腰で言葉を放つのは産まれて初めてだったかもしれません。
本当に頭に来てました。大好きな人を自分のせいで泣かせてしまった。自分のせいなのに自分が状況を把握していない。その現状にイライラしていました。
その日はお酒を飲みソファーでそのまま寝てしまいました。
翌日嫁さんに起こされました。目の腫れはだいぶ引いていました。
「会社遅れちゃうよ、てかソファーで寝て…体痛くない?」
あんな事があって俺の事を信じられなくなっているはずなのに、いつものように優しく起こしてくれる嫁さんをみて絶対誤解をといてやる!と鼻息荒くなりました。
嫁さんを泣かすやつは俺の敵です。だから「ほたるの墓」も俺の敵です。