【小学校4年生の時】
菜穂とは1年から4年まで違うクラスだった。
4年生の林間学校、みんなで田舎に泊まった夜の事。
クラスの男子の一人が「みんなの好きな子言い合おうぜ」と言い出した。
Aくんが「え、俺、菜穂ちゃんが好き」と言った。
なんか…ヒヤッとした。じゃぁBくんも「あっ俺も菜穂ちゃんだ」と続いた
C「あっ俺も菜穂ちゃん」D「菜穂ちゃん」E「俺も」F「菜穂ちゃん」菜穂ちゃん菜穂ちゃん菜穂ちゃん………
なんだよこれは…みんな菜穂かよ…
確かに、菜穂は勉強も運動もできて優等生で顔も可愛かったからモテるのは仕方ない
でも…まさかここまでとは…
誰かが僕にこういった「どうせお前が好きなのも菜穂ちゃんなんだろ?」
この言い方が気にいらなかった「どうせお前も」って
僕はみんなと同じ温度で菜穂を好きなんじゃない大好きだ…
…そうとは言い出せなかった。
幼なじみの僕が菜穂を好きと言うとみんなにライバル視されるかな…恐いな
僕はこう言った「え…違うよ、俺が好きなのは、え、黒岩先生だし」
黒岩先生、それは、もう教頭先生になるんじゃないかと思うほどの熟女先生である
笑い声とともに誰かがこう言った「そうだな、お前には菜穂ちゃんは無理だな」
俺「あー、あはは、そうだね」ってヘラヘラしてた。
まぁ何事も平和が一番だ。うん、平和主義が一番だ…うん…うん
ほんとはとても悔しかったけどこの時の僕なんてこんなもんだ
こんな決断にさせた、菜穂なんてどうしようもなくロクでもない
【小学校5年生の時】
小学校5、6年は初めて菜穂と同じクラスになれた
「やっと同じクラスになれたね」って言ってくれた菜穂は僕より背が高かった。
僕なんて背の順、前から3番目のチビ。菜穂には見下ろされていた
5年生の時、[小説を書きましょう]という課題で小説を書く事になった
大して書きたい事も浮かばない僕は菜穂に「俺、菜穂を主人公にして書くよ」って言ったら
菜穂「ほんとに!?うん、うん、書いて書いて」ってなんか喜んでるみたい。
早速小説を書いた。原稿用紙18枚。当時の僕からすれば超大作となった。
内容はひどかった。菜穂はどこかのお城のお姫様。
退屈な城を抜け出しモンスターを倒して行くみたいな
あからさまにゲームの影響を受けた内容でひどかった
菜穂は進む度に原稿をチェックしてくれてワクワクしてくれたが
大したオチも思い浮かばずひたすら飽きそして急に恥ずかしくもなったので
ストーリーとは全く関係なく突然「そして菜穂姫はロケットに繋がれて宇宙に飛ばされ星になりました、おしまい」
という一行を書いて物語をあまりにも突然に強引に終了とした
「もうちゃんと書いてよー」って菜穂はムッとしてたけど
最初の一行にかいた「菜穂姫は世界一可愛いお姫様」ってフレーズはずいぶん喜んでたみたい
どちらにしろ人の作品にケチをつけるなんてロクなヤツじゃない
夏休みの宿題なんてやった事なかった。
やらなければ先生に怒られる。みんなはこうやって考えるけど
怒られるのが得意な僕は「怒られるくらいでやらなくて済む」くらいに考えてた
ただ5年の夏休みにはいい事を思いた。
勉強ができ真面目で宿題なんか簡単に済ませてる菜穂に見せてもらえばいいんだ
あとは見せてもらうだけシメシメと菜穂の家に行った
僕「菜穂、宿題という物をやりたくなったので答見せて!!」
菜穂「いやだよ、あのね、宿題は写しても意味ないんだよ?」
僕「わかった、じゃぁいいや、やらない事にするよ」
菜穂「それもダメだよ、教えてあげるから部屋においで!」ってやらされるハメに…
大きな家の菜穂の広い部屋でお勉強。宿題だけでいいのに
菜穂は俺は国語だけ他の教科よりできるとか言い出して
宿題とは別に国語だけみっちりやらされた
菜穂の家で二人っきりの時間。僕は宿題や国語はどうでもよかった、ただ
少し大人になった菜穂がブラジャーを付けていたのに気づいて
鼻血が出そうになった、この時生まれて初めて誰かに女性というものを意識した
毎日毎日勉強した夏休みの明けの国語のテストは人生で初めて100点取れた
やりたくない勉強させるとかロクでもないやつだ
背が小さかったのが悔しかった
中学校に入学した時は142cmのチビって覚えてるから6年生もチビだった。
そんな僕でも跳び箱は大の得意だった、身長のわりにはずいぶん高い段を跳べる
でも、背の高い人よりは高く跳べない。だから悔しかった
「俺だって背が高ければ負けないのに」
だからバック転でもできるようになって見返してやりたかった
毎日昼休みこっそり抜け出して体育館で練習してた
でも段を使うとできるのに平たいマットの上じゃなかなかできずにいた
そんなある日、毎日こっそり抜け出す僕を不審に思った菜穂がこっそり体育館まで着いてきてた
菜穂「ねぇねぇ、いつも抜け出して何してんの?」俺「え?え?何もしてないよ」
出されてたマット見て。菜穂「何か練習してるの?」俺「あ、バック転だよ」
菜穂「え、やってよ!」俺「やだよ」菜穂「やってよ」俺「やだよ」菜穂「もぅ…」
俺「わかったわかった明日やるよ、明日」そう言った。
明日だ明日。明日菜穂に見せないとイケない、死ぬほど練習しました。何回もあたまぶつけながら
次の日、菜穂の前でやったら見事一回で成功しました。
菜穂「すごーい!!絶対運動神経いいと思ってたんだ。パチパチ」って拍手してくれた
無理な事だって菜穂の為ならできる気がしたんだ。
でも練習中ぶつけた頭は痛かった…菜穂なんてロクなもんじゃない
修学旅行の夜
Aくん「好きな子言い合おうぜ、俺は菜穂ちゃん」
Bくん「俺も菜穂ちゃん」Cくん「俺も」Dくん「菜穂ちゃん」E「菜穂ちゃん」F「菜穂ちゃん」菜穂ちゃん菜穂ちゃん…
「お前は?」
俺「く…黒岩先生」
林間学校の夜から一年たった黒岩先生は
ますます熟女っぷりに磨きがかかっててますます教頭先生候補だった
ロクなもんじゃない
楽しかった小学校も終わり卒業式を迎えた
菜穂は昔からピアノをやってたからピアノを弾く係だった。
泣いてた。
みんな、同じ中学に行くのに何を泣く事があるんだろう。
俺は「なぁなんでみんな同じ中学なのに泣く事があんの?」ってからかってた
菜穂「なんか、わからないけど想い出が詰まっててジーンとくるんだよ」うーん、よくわからない
菜穂「ねぇ、一緒に写真撮ろうよ。」
写真の顔は笑ってた
また人の想い出の写真に入ってくるなんてロクでもないやつだ