私は昔から内気で、お願いされると断られない性格ゆえ、いじめの標的になりやすかった。
けれども、小学生までは徹底していじめられることは無かったんだけど、中学生になった頃、
私は目立つグループから日常的にいじめられるようになった。
理由というか発端というか、とにかく気がついたらいじめられていたというかんじかな。
これから地獄の日々が続くかと思われたある日、一人の老け顔美人がこの土地を訪れた。
強烈な関西弁を撒き散らしながら・・・。
器量は良いと言われるけれど、垢抜けない顔だと自分でも思う。
まぁどんくさいんだよね。全てにおいて。
けれど、そんな私だってオシャレがしたい、綺麗な靴下を履いて登校したいと中学生の頃は毎日思ってたのよ。
でも目立つとやっかまれていじめられるのが目に見えている日常。
「高校生になったら、いっぱいオシャレするんだ!」って思いながら、日々受ける軽いイジメに耐えていた。
そして高校受験に合格して、遅く咲いた桜を眺めて校門をくぐり、教室に入ったら私の視界に飛び込んできた数人の女子。
紛れもなく、中学のとき私を暇つぶしにいじめていたグループだった。
心の中の桜が一斉に散って、目の前に動くマットが現れたような感覚だった
いまさらそ知らぬフリなんてできないしそんなことしようもんなら一発でイジメの標的、
それもド真ん中になると思って、低姿勢で挨拶した。
「あああららたたもおなじグラスだあったんでっすくぁwせdrftgyふじこlp」
完全にテンパってた。今になって思えば、あの時普通に接していればと後悔するばかり。
いじめ女子(AとB)は一瞬「・・・きめぇ」みたいな顔になって、あぁこりゃ絶対ダメだと思ってたら
その日は特に会話もすることなく学校が終わった。
女子高生になったんだし、イジメとかそういうのって興味なくなったんだ!って勝手にハッピーになってた
でも違った。彼女達なりに物色してたかんじだった。
他中学から来た女の子にも派手な子がいて、初日は皆そういうカンジで物色していたように思う。
何も知らない私はウキウキになって、帰り際商店街でちょっと薄い桜色のマニキュアを買った。
少しくらいなら、オシャレしてもいいよねって。
次の日、早速そのマニキュアを塗って登校。幸い、派手すぎでなければ多少の茶髪やマニキュアは見逃してくれる校風だし。
さあ次は友達探し!って思って、自分の席の後ろにいた子にプリント配るついでに「よろしくね。私○○って言うの」
と、まぁありきたりな自己紹介をした。
そしたら後ろの子、仮にC子は特に何を言うでもなく、私の全身を舐めるように見たあと、無言でプリントを受け取った。
「寡黙な人だなぁ」ってその時は思った。
けれど、C子は中学は違えど、いじめグループの子達の知り合いだった
入学してから二週間くらいして、私はC子に話しかけられた。
C「なんでさ、マニキュアとかしてんの?」
私「え・・・?あ、あの、マニキュア好きなんだよね。」
C「ふーん」
私「Cちゃんは何色が好き?」
C「・・・」
私「あの・・・」
C「似合わないしキモい」
私「え?」
C「キモい」
私「・・・・・ごめん」
そのまま、そっと前を向いた。
私なにかCの逆鱗に触れるようなことしたかなぁって、その日一日ずっと考えてたけど、これといった答えはでなかった。
共通点といえば、いじめグループと接点があるくらいだけど、いじめグループは別段私に話しかけることも無かったし
関係ないよねって思ってた。きっと虫の居所が悪かったんだろう、気分屋さんなんだって。
でも気温の上昇と共に、いじめグループとの接点が合点になっていった。
色白ぽっちゃりで静かな子。仮に白子と命名。
お互いあまり目立たない存在で気が合う部分もあったし、なによりお互いまだ一緒に下校する友達もいなかった。
私は嬉しくて、白子と一緒によく商店街に買い物に行った。帰りに駅前で安いパン食べながら話したり、
雑誌を広げてこの服可愛いねとか、とても幸せな時間をすごしていた。
けれど、夏休みが近づいたある日、白子が一通の手紙をよこした。
絶滅危惧種のキキララの封筒に便箋。どうしたんだろう、恋でもしたのかなって思った。
手紙の内容を要約すると
「友達やめよう。早い方がいい。私までいじめられたくないから。ごめんね」
ということだった。私は友達を失ったことよりも、友達がいじめられていたことにショックを受けた。
いつも笑いながら喋って、お弁当のおかず交換したり楽しく過ごしていた白子がいじめられていたなんて。
いじめの相手は誰か分からなかったから、その後すぐに白子に電話した。
白子は質問に答えようとせず、終いには鼻をすすりながら「ごめん」と言って切った。
友人に何するだ!!!と頭の中が沸騰して、絶対白子をいじめている奴を特定してやる!って誓った。
誓ったはいいものの、その時、いじめた相手に対してどうこうこうするという考えはしなかった。
やっぱり平均以下の脳みそ、後先を考えていない。
学校に行って、白子を詰問していじめた相手を聞き出そうとするも、白子は目も合わせないで私の前から逃げていく。
切なかったし、私には話してくれると信じていた友人にこのような態度に出られると、こっちの勢いはみるみる内にしぼんでいく。
しょんぼりしていると、Cが話しかけてきた。
C「ねえ、除光液ある?」
相変わらずマニキュアは欠かさなかったので、除光液は必需品。リュックの中から除光液を取り出しCに渡した。
「サンキュー」といってCは除光液を受け取った。久々に話したなぁ、とその時は思うだけだった。
結局、その後白子との仲は回復しなかった。
また一人の生活に戻っちゃったなって思いながら毎日過ごしていたら、Cがよく話しかけてくるようになった。
けれど、ほとんど物の催促。除光液が返ってこないうちに、Cは「ジュースちょっと頂戴」「もっと席前に行って」
「ペン貸して」「宿題見せて」など。
人に物借りることに遠慮がない人なんだなぁと、ちょっと嫌に思ったくらいで、その時はCと話せた事で頭がつまってた。
Cは段々要求がエスカレートしていった。両親共働きなので時々お弁当は購買のパンで済ますことも多くなってきて、
一人でパン食べてたらそのパンすらよこせと言う始末。
さすがにお腹が空くしお小遣いも限られているのでその都度買い足していたらお金が無くなる。
なので「Cちゃん、私あまりお金ないから、パンはちょっとあげられないんだ」って言ったら
「死ねよ」
って返ってきた。
その日は落ち込んでずっと俯いたままだった。キツい友達をもったもんだなぁって。
この時点で私は何故か勝手にCを友達としてみていた。勘違いも甚だしい。
その日の帰り、Cは下駄箱の前でいじめグループと一緒にたむろしてた。
そして下校しようと上履き脱いでた私に
「お前のせーで腹減ったじゃん。コンビニでパン買ってきてよ」
といきなり命令された。
傍にいたいじめグループの女の子達はニヤニヤしていた
私「ごめん、今月お小遣い厳しいからパン買えない」
C「なんでよ」
私「だから、お小遣いが」
C「パクってくればいいじゃん」
私「それは・・・!万引きじゃん!!」
C「そーだよ。早くしてよ」
私「それはいくら友達でも無理だよ」
C「キメーwwwwwwww友達だってwwww」
A「な?絶対友達と思われてるっつったじゃんwwww」
B「昔からこいつ頭おかしーんだよwwwきもいwwww」
目の前にマットが再び現れた
その日は逃げるようにして帰った。
私は友達じゃなかったんだぁ・・・って泣いたけど、思い返してみると、ショボい四次元ポケットのような扱いだった。
また一人の生活かー・・・って思いながら次の日学校に入ったら、私の席にABCとその他がたむろしてた。
おはよう・・・って遠慮がちに声かけて席移動してほしいなぁと思っていたら、ABC無視。
私「あの、席に座りたいんだけど・・・」
ABC「キャハハハwwwwwwwww」
私「ねえ、席どいてほしいんだけど」
ABC「・・・・・・・・」
私「もう授業が・・・」
A「お前さー、昼一人?」
私「・・・・・うん」
A「昼さー、ウチらんトコ来てよー」
私「へ?」
キーンコーンカーンコーン
訳の分からないまま昼になった