友達には彼女いないってことにしてたけど、
まだタマと付き合っていた。
たしかに一緒にいる時間は楽しかった。
だから、俺も一緒にいた。
俺のくだらない話をよく聞いてくれた。
タマは俺のなかで、
完全にいなくてはならない人になっていた。
社会人になり、
俺はタマの住んでいるところと、
離れる場所に住むことになった。
それでも、週末にはできるだけ会うようにしてた。
してたっつーか、相手が会おうってうるさいかった。
俺は結婚を意識しだした。
悩んだ。
どうするか、
結婚…するか。
気が合うけど、一生ブスと一緒になるか、
かわいいコを選ぶか。
なんせ、俺はそこそこモテていた。
そのチャンスは十分にある。
しかし、別れるなんて言ったら、
タマ、死ぬとか言い出すだろうな…
一年くらい悩んだ。
タマと会ってる時にずっと悩んだ。
一緒に飯食ってる時、タマはいつも笑顔だった。
そんな笑顔の横で、
俺は心のなかでは、悩んでいた。
このコの笑顔を見るのは好きだ。
ずっと見ていたい。
俺が別れたいなんていったら、
どんな顔するんだろう。
泣くんだろうな。
それは見たくない。
別れるとすれば、いつ言おうか、
何て言おうか。
俺が嫌われたら、
いいんじゃないかって考えた。
俺はわざと、冷たくした。
それでも、全然食い下がらない。
仕事で、疲れているんだよね?
とか、本当は優しいの、知ってるだとか。
俺は、やっぱり顔がかわいい方がよかった。
なんとしても別れようと考えたんだ。
最後は電話で、言った。
他に好きな人が出来た。
って。
なんで?とか、しつこかったけど、
もう騙し騙しやるのは無理だった。
何度聞かれても、
他に好きなコが出来たから、
別れよう。って、いいとおした。
タマは泣きながら、
いつかこういう日が来ると思ってた。
いままで、ありがとう。
って、言われた。
結婚して二人の子供がいます。
もうタマと会うことはないけど、
あのとき、タマを選んでいたら、
どんな人生になってたんだろうって思う。
きっと、それはそれで幸せな人生だったんだような。
まぁ、それだけの話でした。
ありがちな話だね。