もちろん妄想として嫁と付き合ったらどうなる?とかは考えてみたことはある。
でも小さい頃からよく知っている友達の妹と付き合うなんて、想像すると
むちゃくちゃ恥ずかしかった。Aには「趣味わるっ!」とからかわれるだろうとか、
それならまだしもイヤがられるかもとか、Aの両親には妙な顔をされるんじゃ
ないかとか。中学高校の部活の仲間にもからかわれるだろうとか。
なまじ嫁とすごく仲良くなったから、恋愛関係にしようとしてダメになる
のがイヤだったというのも、今考えればあったと思う。
こうやって書いてみると、自意識過剰で臆病だったんだな。でも当時は
そんなに明確に意識もせず、俺は嫁の兄貴でなくちゃいけないと思っていた。
だから嫁に萌えたり欲情したりすることに罪悪感も感じてた。
それに俺にとってはAが交友関係のメインで、当時の嫁はあくまでもAの妹
だった。仲は良くて、先輩後輩でもあったけど。だからAと気まずくなりそう
なことはしたくなかった。
旨塩・・・?
嫁にはたまに恋愛相談めいた相談をされることもあった。
俺が言うのもなんだが、嫁は可愛い方だと思う。見た目だけじゃなく、
基本朗らかで、でもふわっとした雰囲気もあって、性格的にも人気が
あったんじゃないかと思う。高校の間も時折告白されては
「○○先輩、どう思います?」なんて聞かれてた。俺はモヤモヤを感じながら、
相手の人となりを聞いて今一とか悪くは無さそうとかアドバイスしてた。
嫁は自分から誰かを好きになったとかは聞かなかったが、しばらく同学年の男と
つきあってもいた。すぐに別れていたけど。
だから嫁にとっても俺は恋愛対象では無いんだなと思っていた。Aより兄貴
らしい兄貴かもなとかww
Aとは大学は違ってしまったが、仲がいいのは続いた。腐れ縁だからなとか
言いつつ、Aの家で相変わらず溜まっていたり、同じバイトをはじめたり。
時々Aの部屋で飲み明かしたりするようにもなった。
一応、それぞれに大学でサークルに入ったが、あまりそちらには身が入って
いなかった。
俺はバイト先で知り合った女の子とつきあったこともあった。ちなみに
Aもその頃彼女を作ったww
二人ほぼ同時期に別れ(というか振られ)、飲みながら慰め合って、
飲み過ぎて、死ぬ思いをしたのも、今となってはいい思い出と言えなく
もないww
そんなこんなで大学も2年目に、なんと嫁が同じ大学に入ってきた。学部は
違ったが。現役で来たので、2学年差が一つ詰められてしまったわけだ。
しかもなぜか俺が緩く在籍していた趣味のサークルにも入ってきた。
これで一緒にいる時間が増えた。同じ時間の授業があるときは連れだって
大学に行ったり、昼や授業の合間に食堂に一緒にいたり、飲み会から一緒に
帰ったり。一年の時はさぼりがちだった俺が、嫁が一緒にいることでわりと
顔を出すようになったこともあったし、サークルの仲間には当然付き合ってる
と思われていたようだったが。
でもやっぱり仲の良い兄妹みたいな関係だからなと思って、「これじゃ
彼女を作れないな」とか考えていた俺は、つくづく度し難い。
その1年近くはそんな感じで過ぎていったが、授業とバイトの合間には
ほとんど嫁といたり、夕飯を外で一緒に食べることも多くなって
いったりした。
でも「お前カレシはできないのか。兄ちゃん心配だよ。」とか兄貴ぶる
俺。嫁も「○○兄ちゃん(こういう話題の時だけこう呼ぶ)、私に男の子
が寄ってきたらうるさくチェックしそうじゃない。」なんて妹ぶったり
することは多かった。
しかし冬の終わり頃からなんとなく妙な状態に入っていった。
上みたいなことを言いつつ、嫁に実際に彼氏ができることは考えたく
なかったし。
でも二人でいるときも時々なにかギクシャクすることが増えてきて、
基本朗らかな嫁が、この頃は話している途中で不機嫌になったり
涙目になることがあった。
さすがに俺も「Yは俺が好きなんじゃなかろうか」とか「俺はYが
妹のようにではなく好きなんじゃないか」と時々考えるようになって
きた。でもはっきりさせたり、具体的にどうこうまでは踏み込めなかった…。
その年のバレンタインには久しぶりにチョコをもらった。でも
「兄ちゃんに義理チョコとは義理がたいことだね」とか、バカか俺は。
嫁は「感謝してよっ」とか言っていたけど、今ひとつ明るい笑顔では
なかった気がする。
そんな膠着状態を打ち破ってくれたのは、Aだった。
すまん、お待たせしました。
眠いし書きためが尽きそうなんですが、もう少しがんばります。
俺の携帯にAから着信があった瞬間のことは忘れられない。
一人で家に帰る途中にかかってきたのだが、出るなり大声で
「○○っ!Yが大変なんだっ!」
「は?」Aがなにを言っているのか一瞬理解できなかった。
「Yがやばいんだって!!なのにお前と話したいって呼んでんだ!
お前どこにいるっ!?すぐ来てくれよ!!」
「じょ、冗談」
「冗談なわけあるかっ!いま家で横になってるから、頼むから早く
来てくれっ!今もお前を呼んでるんだよ!!」
「わ、わかった!」
実際にはもっとやりとりがあったような気がするが、途中から俺も
混乱したらしく、よく覚えていない。
でもこんなに悲痛なAの声を聞いたことはない(・・・と思った)。
なにがあった!?事故かっ!?車にでもひかれたかっ!?とかグルグル
考えながら、Aの家へ必死で走った。最寄り駅までは来ていたが、
けっこうな距離を走ったはず。走っているうちに考えはどんどん
悪くなり、着く頃にはほとんど泣きそうだった気がする。
Aの家に飛び込んだらAが迎えてくれた。が、電話でとは大違いで
慌てた様子はまったくなく、神妙なような少し困ったような不思議な
表情だった。
A「必死で来てくれたんだな」
俺「当たり前だろ!Yはどうした!?大丈夫なのか?」
A「・・・うん。部屋にいる。」
あとは俺がなにを聞いても「会えばわかる」と言うだけで、嫁の
部屋に通された。Aは来なかった。
緊張しつつ嫁の部屋に入ったら、嫁が真ん中で正座していた。
「???」と思いつつ、とりあえずケガや急病というわけでは
なさそうなことに少し安堵したけど、嫁の緊張したような
思いつめたような表情にやっぱり混乱しながら、嫁の前に座った。
「なにがあった?大丈夫?」
「・・・あの、一生懸命来てくれてありがとうございます。
びっくりさせてごめんなさい。
○○くんにどうしても聞きたいことがあって。」
声も緊張したような声で、少し震えてた。
ちなみに嫁は中学高校と運動部の先輩後輩だったこともあって、
その頃は俺には敬語で話していたが、大学に入ってからは段々
小学校の頃のように年下らしいタメ口になり、時々敬語が混じる
という感じだった。
それがこの時はがっちり敬語だったことからも、嫁の緊張感が
伝わってきたように覚えている。
そこから次までしばらくためらうような間があったと思う。
そして嫁は思い切ったよう口調で口を開いた。
「あの!○○くんは私のことどう思ってますか!
そんなに必死で来てくれたってことは、少しは好きでいて
くれるんですか?
私は○○くんのことが好きです!
…お兄ちゃんみたいとかじゃないよ・・・」
最後は消え入りそうな声だった。それで必死な表情で、少し
涙目で見つめられた。
俺は恥ずかしいことに大混乱だった。まず頭が真っ白になって、
それから、え?え?俺、嫁に告白されてる?とか、この急展開
どうしたらいいんだ!?とかまたグルグルと。
でも嫁は俺の返事を待っている。
それでここは思い出すといまだに自分のヘタレ加減に死にたくなる
のだけど、俺はこの期に及んで「わからない」と答えて逃げようと
したんだよ。この時の俺 orz
「…わからな」でも最後まで言えなかった。
嫁が胸元に飛び込んできたんだ。
抱きつかれるというよりはタックルのようだったと思う。そして
「わからないって言わないでっ!」
時間が止まったような気がした。
そして、俺の胸元に頭を押しつけながら嫁が小さく震えだした。
泣いてる。
「…もう妹とかわからないとか、やだ」
小さい泣き声で言われて、俺は陥落した。ホントに頭の片隅で
「あ、俺いまYに落ちた」と思ったのを覚えている。正確には、
ここでようやく自分が嫁を好きだと認められた。
告白されてはっきり自覚もして、「俺もYが好きだ」と言った。
そして、嫁への申し訳なさとあまりの自分の情けなさに、泣いた。
抱き合ってお互い泣きながら、俺は「好きだ」と「ごめん」を繰り返
していたと思う。ヘタレな顛末で、恥ずかしい。
落ち着いてから、二人で顔を見合わせて赤面したが、気分は悪く
なかった。というか、憑き物が落ちたように晴れ晴れした気分になった。
泣き顔を洗いに二人して下に降りたら、まだ神妙な顔をしているAが
居間で座っていた。なんて言おうかなと思ったが、Aはひどい顔で赤面
してる俺たちを順番にじっくり見て、ニヤッと笑い、「ようやく
なるようになったか」と言った。
当たり前だが、Aと気まずくなることなんか無かった。
あとは後日談的に少しで終わります。
Aには感謝したものの、あんなに人を脅かすような寸劇をやる必要は
なかったんじゃないか、試すようなことをしてひどくないか?
と控えめに抗議もしてみた。
Aが、狙ったとおりの結果にニヤニヤ喜びながら言うには、
それなりに前から俺たちがお互いに意識していることはわかって
いたらしい(まあそうだろうな…)。
バレンタインの後に嫁が落ち込んでいた(汗)のをみて、いよいよ
なんとかしてやらなくちゃならないと思ったそうだ。
で、実はこの寸劇の少し前にAの部屋で飲んでいたときに、俺に
話しを振っていたのだそうだ。「お前、最近女関係はどうなの?
妹タイプが好きなのは知ってるけどYみたいなのはどうよ。ってか
Yとよく一緒にいるけど、どんな感じなのよ?」と。
俺はというと、その時は相当飲んで酔っていて、その会話をほとんど
覚えていない。言われてみればそんなことを聞かれた気も…。
Aはその時は普通に「素直になれよ」とくらい言うつもりだったのが、
俺が頑なにYは大事な妹だと繰り返していたそうで、こりゃ少しは
衝撃を与えないとダメだなと思ったらしい。
それと俺はYの兄貴だにーちゃんだ、お前なんかよりよっぽど
いい兄貴だとも言ってたらしい。「本当の兄貴を差し置いて何を
言ってくれちゃってんの。この酔っ払いが、ウゼえな!」と
むかっ腹も立ち、少しは脅かしてやりたいと思ったのもあるとか。
嫁から俺への気持ちを聞き出し、さすがに躊躇する嫁を説き伏せ、
嫁も膠着状態をなんとかしたくて、最終的に実行ということ
だそうだ。途中でばれたら、そこからこんこんと真面目に話し合い
というつもりだったらしい。
「事故とか言ってないし、Yが話したがっていたのは本当だし、
一応嘘はついてないだろ?」とかw
ともかく俺の愚鈍さ頑固さが問題だったということだ。抗議して
みたものの「ごめん」と謝るしかなかった。
もっともAはふと真面目な顔になって、
「お前の血相の変えっぷりを見て、少しやり過ぎたとは思った。
ごめん」と謝ってもくれた。
その後は嫁ともAとも、もちろんA&嫁の両親(今は義理の両親)とも
うまくやってきている。
つきあい始めは、自覚したので心おきなく、かつそれまでの罪滅ぼしも
すべく嫁を大事にする俺に、嫁は喜びつつ「嬉しい…けど、これまでとの
落差がありすぎて釈然としない気持ちもする」とたまにちょっと複雑な
顔もしていたけれど。
そういえば、高校の時の部活の後輩女子(嫁と同級生。俺ともそこそこ
仲良かった)に居酒屋で酔って説教されたこともあったけど。嫁は
いろいろと彼女に相談というか愚痴吐きをしていたらしい。
「先輩、ちょっとそこに座ってください。」(目が座ってた)
「Yちゃんがどんなに先輩を好きだったか、知ってますか!?」
「自分がどんなに鈍感でひどいことをしたか、わかってますか!?」
自覚後だけに、俺は正座で「はい、すみません」と神妙にしているしか
なかった。
大学を卒業後しばらくしてから結婚したけど、今でもラブラブカップル
のような夫婦と言われる。もちろん小さなトラブルやケンカはあったけど、
基本仲良く暮らせていて、幸せだなと思う。
Aは、就職後、俺が仕事関係の知り合いの女性を呼んだ合コンで今の彼女
と知り合い、結婚までたどり着きそうなところまで来ている。少しは
恩返しができたかなというと、「まだまだだなw」と言われるけどねw
長くなってしまいました。終わりです。
それにしても情けなかったなぁ、俺。
振り返って恥ずかしいところも多かったけど、ちょっとすっきりもしたw
以上です。
支援してくれた人たち、ありがとう。
明日も仕事なのでもう寝ますが、もし質問があれば、
後日にでも答えられる範囲で答えます。
それではおやすみなさい。
引用元: ・https://engawa.5ch.net/test/read.cgi/tomorrow/1326988005/