なんかネタがないみたいだからさ。
実は俺の嫁も昔、不倫しててね。
修羅場になって、関係者全員不幸になった。
何もかも捨てて間のところに行く、って口走ったんで
離婚しても親権ではもめなかったな。
幸い、俺の両親、商売をたたんだばっかりだったので、呼び寄せて
なんとか生活は軌道に乗った。
嫁、案の定間男から、遊びでした、あなたとは一緒になれません、なんて言われて
実家からも半勘当状態。
嫁の兄嫁にうまく取り入って兄貴のところに転がり込んだものの、長続きするわけもなく。
しばらく消息も途絶えてた。
ところが3年位して、俺の祖父が大往生を遂げたとき、ひょっこり葬式にやってきた。
それも、こそこそ、おどおど、挙動不審で、隠れてるつもりみたいだけど逆に目立ってて。
ところがその姿が、俺には凄く懐かしくて。
昔、手違いで、会社の方の葬儀に、俺と嫁が別々に出たことがあって、その時の様子そのままなのな。
後ろから忍び寄って、ポンと肩叩いてやったときの、驚きとも安堵ともつかぬ表情まで一緒で。
そこから泣き出しちゃったんだけど、事情を知ってる親戚が、親族控え室の一角に連れて行ってくれて、
ゆっくり話しな、って。
嫁が泣きながら言うには、
こんな席に出る資格がないのはよく判っているけど、
せめてお線香を上げさせてください。
みんなを不幸にしてごめんなさい。
お香典とは別に、せめてもの誠意と思って、これを受け取ってください、って
何故か俺名義の預金通帳。
毎月5万円の入金があって、ところどころ10万円だったりして、苦労して貯めたことは一目でわかった。
本当は200万円にとどくまで貯めてから渡したかったんだけど、と。
それまでは普通に接してたんだけど、いやに意地悪な気持ちになって、
いい男は見つかった?
って聞いたら、あなた以上の人は居なかった、って。
で、gdgdはあったけど、それから1年後に復縁。
家族や親戚は、亡くなった祖父さんの顔も立てんとな、などと言って許してくれた。
子供は小学校に上がってて、ちょっと意固地になってるところもあったけど、
付き合い再開した1年の間に、色々あって、いまではまた嫁べったりに。
離れてた間の男関係も確かめたけど、「あなた以上の」ってのは見栄だったみたいで
結構苦労して働いてたと全然別のところで聞いた。
葬式の情報を得てたところからして、どうやら親戚の誰かとは連絡を取り合ってたみたいではあるな。