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投下失礼します。
なるべく読みやすいよう、頑張りますが、お目汚ししたら済みません。
彼も私も相当DQNです。不快な気分になりましたら、どうかスルー願います。
あ、修羅場の開始は、6からになります。
私(28)OL→私子
彼(29)フリーター→彼也
新彼女(19)専門学生→新美
7年前の話です。
彼とは結婚を前提に付き合って10年。しかし、彼に定職が見つからない事もあり、ずるずると交際期間だけが長引いていました。
当時、彼は一人暮らし。
家は友人達(遊びのサークルを通じて知り合った男子。多数)の溜り場で、いつ行っても誰かしら男友達がいます。
私達は土日の昼、彼らを数時間追い出して性生活を行なうのが、週課となっていました。
私が彼の様子が変だなと、思い始めたのは2000年1月の中旬頃のこと。
Hが好きで、Hの邪魔をされたくないばかりに、誰とも同居しなかった彼が、
「友達が行くあてが無いって言うから…」
という理由で、家に住むのを許可してしまったのです。
私は「じゃ、仕方ないよね」と答え、バレンタインに向けて、今年はどう凝ろうか…なんて、のんきに考えていました。
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バレンタイン当日、チョコのアイスケーキを作りました。
しかし、大の甘い物好きの彼が、風邪を理由に口を付けません。
パジャマ姿でゲームし、3ヵ月前に買った携帯に夢中になり、友人達と談笑してましたが、食欲は無いとのこと。
私は、甘い物って食欲無いと入らないもんね~と、溶けていくアイスを横目に、また作ればいいやと考えていました。
友人達が、落ち着き無く、いたたまれない様子にも気付かずに。
3月に入り、会っても会話する時間が減り、H無しの日も続いて、少々苛立ってきた頃。
彼がとんでもない事を言いだしました。
「オレ、就職は諦めて、専門学校に入る」
「が、学校!? お金は!?何年通うの!?」
「2年間。パソコンの資格取りたいんだ…学費は親に援助してもらう」
最低でも一年間、彼が職場に勤めてから、というのが私の親の出した結婚条件だったので…それはそのまま結婚延期を意味しました。
しかし私は彼と一生付き合うつもりだったので、
(この先、50年あるのだから、3年位なら)と考え、承諾してしまったのです。
しかし、この時期から彼は私の前でも、誰かと電話やメールを繰り返すようになっていました。
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5月の日曜。私が彼の浮気を知る日がきました。
話は逸れますが、当時PSソフト「どこでもいっしょ」が発売され、爆発的ヒットしていました。
私も例に漏れず相当にハマリ、ソフトを彼の家に置き、彼や友達にもプレイさせては、データをやりとりして遊んでいたのです。
その日、彼の許可を得て、彼のトロを見せて貰っていました。
トロが言葉を教えて、と言うので、私は気まぐれに自分の名前「私子」を入力しました。すると──
『トロしってるニャ!わたこは、かれやのともだちなのニャ!』
(……友達?)
『かれやは、すきでも、きらいでもないのニャ!』
「……どういうこと?」
彼は画面を見たまま、固まっています。私は黙って、次の言葉を入力しました。
彼や彼の友達の会話に、よく出るようになっていた女性の名前、「新美」と。
『トロしってるニャ!にいみは、かれやの かのじょなのニャ!』
『かれやは にいみのことが、だいすき なのニャ~』
テレビを消し、私は押し黙りました。彼も一言も発しません。
友人達は空気を察し、次々と帰っていきました。
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私は、覚悟を決めて言いました。
「別れよっか…」
「嫌だ、別れない!」
返事は速答でした。
「……好きでも嫌いでもないのに?」
「好きだよ!…あれは、俺が入れたんじゃない。誰かが勝手に入れたんだ!置きっぱなしにしてたし…きっと悪戯してさ!」
証拠も無いし、そう力説されては、強くは問えません。
「本当に?私でいいんだね?」
「私子がいいんだよ」
服の中へ潜り込む、彼の指に感じてしまいながら“また、嘘つくんだ…”と、哀しい気持ちになりました。
働く、と言って働かない。就職する、と言って就職しない。お金は返す、と言って返さない……そんな人でしたから。
その夜、私は所有の証のつもりで、彼の体に沢山のキスマークを残して帰りました。
数日後。私は親に嘘をつき、彼の家に泊りました。
以前と全く変わり無い彼に、少しホッとして…けれど、不安は拭いきれずにいました。
その夜、丁寧で優しいけれど、激しいHを終え、私は淘然として彼を見ていました。
その時です。暗やみに慣れた目が、彼の肩口の赤い線を捉えました。
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その線は、彼の体のあちこちに、何本も見えました。明らかに爪跡です。
「……新美さんと会った?」
「なんで?来てないよ」
「…………そう」
嘘です。私は彼を痛がらせないようにと、爪を立てたことも無かったんですから。
彼の体には、まだハッキリと残っています。
彼も嘘つきですが、新美という女も、私という「彼女」がいると知った上での行動…宣戦布告だと思いました。
それからは、平日もほぼ毎日、彼の家へ泊まりました。
だるそうな彼を、その気にさせ、体を重ねます。手で、口で、腰で…知る限りの手段を使い、彼が満足するよう努めました。
友人がいても、カーテンで仕切ったり、お風呂場で及んだり。
少なくても二度、時間をかけて三、四度と彼が達してようやく安堵し、仕事に向かうことが出来ました。
しかし、そんな事をすれば、体調を崩すのは目に見えています。
職場で不調になり、家人に怒られ…それでも翌々日には、彼の家へ行きました。
(例え、2番目でも…体だけの関係になっても…抱いてくれるなら、一緒にいてくれるなら……)
土曜の早朝。家の鍵は開いており、私は玄関から彼の名を呼びながら、毛布の塊へ近付きました。
「彼也、ねぇ彼也……」
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毛布からは、長い黒髪が見えました。
その頭髪の持ち主と、抱き合うようにして、彼は眠っていました。
その直後のことは、よく覚えていません。
気付いた時、彼に頬と頭を叩かれ、腕を捻られ、痛さで悲鳴をあげながら床に伏していました。
「痛てぇんだよ、ちくしょう!」
という彼の声、散乱した食器と転がった卓袱台から、私が彼を害したのだと判りました。
そのまま、畳の上に投げ出され、手足と腹部に痛みが走りました。
顔をあげ彼を見ると、出血は無いようでした。
ホッとすると同時に、怒りが湧いてきて、無人の布団(新美は部屋の隅に逃げていた)からシーツを剥がし、
「したんだ!したんだ!…ねぇホラ、してたんでしょ!?」
と、濡れた部分を突き付けながら泣き喚く私。事実、濡れていて匂いも男女の体液です。
彼はシーツをひったくり、激しく怒鳴り返してきました。
「うるさい!何しに来た!?俺の行動に口出すな!」
「そんな…おかしいよ!」
「おかしいのは、こんな朝から来る、お前だろ!?」
置き時計を、床に叩きつける彼。
「お前、本当に常識無いよな。我儘や勝手ばかり言わずに、少しは気を使えよ。俺にも友達にもさ」
「……ごめんなさい、でも…」
震えて、声もろくに出ない私。
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「頭冷やして、よく考えてから行動して欲しい。俺が言いたいのは、それだけだ」
しかし、納得出来ようはずもなく、視線をさ迷わせていると、新美の姿が目に止まりました。
毛布に身を包み、こちらを凝視する彼女に、私は愕然としました。
彼女が、すごい美人だったからです。(モデルをしてるのだと、後に知りました)
かたや、自分は年増のデブス。もはや一言も言い返せません。
その時、外に車が止まった音がして、玄関のチャイムが鳴りました。
来たのは彼の親友でした。どうやら彼が電話で呼んだようでした。
「悪い。早く連れてって」
彼はさっさと、私のバッグを持って、親友に渡してしまいました。
「嫌…お願い…帰りたくな……」
「お前がいたら、新美が可哀想なんだよ」
彼は私を、なかば引きずりながら玄関へ連れていきました。
そして、新美と親友に聞かれない位置で、小声で言いました。
「あんなに抱いてやって、まだ足りないのか?淫乱」
その日からは、めちゃくちゃです。
起きてる間じゅう泣き、胃痛と嘔吐で寝込みました。
現実逃避に自慰を続け、彼の言葉を思い出しては、自己嫌悪する一週間でした。