遠いのにあんなにしょっちゅう来るのは大変だったろうなって今にして思うし、本当に感謝してる
ただ、4歳下の妹連れてこようかって言われた時は絶対連れてくるなって言った
きっと今の俺見たら妹は泣くし、それ見たら俺も凹みそうだったから
俺のじいちゃんは胃癌で一年三ヶ月持ったが亡くなった。
ばあちゃんも肺癌で同じくらい生きたが亡くなったぞ。
うん、俺は運がよかったんだと思う
内臓の疾患じゃなかったのも効いてるのかもしれない
さてこの辺から一緒に入院してた人たちの話になる
本当にいい人ばっかりで、つらかったはずの入院生活なのにこの人たちのおかげで楽しい思い出がたくさんある
入院時に同じ病気だった人は以下の3人
・浜田さん(22歳パティシエ男)
・綾ちゃん(北乃きい似17歳JK)
・みーちゃん(お前らの大好きな幼女)
その他にもリュウマチの斎藤さんとか焼肉屋経営のチャキチャキ江戸っ子アラサー女のクミさんとかいた
クミさんは滅茶苦茶元気で正直なんで入院してるのか分からないレベルだった
浜田さんは同性で同じ病気ってことで色々相談に乗ってくれたし、2人だけで話す時には色んなエロ知識を伝授してくれた
膝が悪くなった後でも可能なsexの体位についての話はその後の俺の人生でなかなか役に立った
綾ちゃんは凄く可愛い子だった
抗がん剤治療を受けてるから当然髪の毛は抜けちゃってていつもニット帽をかぶってたが、それでもかなりかわいいと思ったし、元気な頃の写真はもっと可愛かった
童貞で女の子耐性がなかった俺は最初のうちは自分から話しかけることすら出来なかったけど、気さくな子だったから何度か話してるうちにすぐ仲良くなれた
書いてる内に思い出したが、綾ちゃんだけ何故か主治医が違ってた
みーちゃんはお子様なので夜話会にはこれなかったけど、俺とみーちゃん両方が体調いいときは一緒にゲームとかしてた
調子いいときに作った手作りのお菓子とかくれて、もう1人妹が出来たみたいでかわいかった
斉藤さんは時々病院抜け出してコンビニ行っては雑誌とか差し入れしてくれてたし、
クミさんは自分の店から色んな肉(焼いてある)差し入れさせては夜話会に持ってきてくれてた
ちなみに綾ちゃん以外は今後あまり出てこない
あ、夜話会ってのは上のメンバー(体調がいい奴限定)で消灯後に談話室に集まって雑談する会
自販機コーナーでジュース買ってきて、それ飲みながら23時くらいまで喋るんだ
斎藤さんの調子がいいときは近所のセブンでおでんとかからあげ君とか買出しすることもあった
治療がつらい時でも、回復期間になったら夜話会に行くんだって思って頑張れた
ちなみに放射線治療はしなかったのかい?
>>28
ありがとう
こうやってレスしてくれる人がいて嬉しいよ
>>31
おいwww
>>33
そうなんだよ、本当に人とのつながりって大事だと思う
俺は放射線治療はしなかったよ
同じような病気で患部が骨じゃなくて筋肉の人のなかには放射線治療してる人もいたが
でも徐々に抗がん剤の長期的副作用が俺にも現れ始めた
これまでは血液成分が減っても数日ですぐ回復してたんだが、白血球が増えなくなったんだ
というか、減りすぎて感染症に対する抵抗力がほぼゼロになった
俺は隔離された
ドアが2重になってて、常時換気+空気清浄機が作動してる部屋
当然窓は開かないし、ウ○コの時以外は部屋の外に出ることすら出来ないから夜話会どころじゃない
部屋の中でも俺は常時マスクをして、先生やナースも入室時には念入りな消毒をしてた
骨芽腫か。
ガンには詳しい方だけど、血管ボロボロの内出血、一日三回吐くわ、髪は抜けるわ、つらいのはじいちゃんたちみてよく知ってる。
それにしても奇跡だよな。
先生とガンの場所は。
血管に隣接するようなところならあっという間に転移するし、骨芽腫は骨を切り取れば歩けなくなるけど収まるし。
たぶん先生に対しては、ストレスが溜まりにくかったんじゃないかな。
>>37
なにか骨肉腫に縁でもあるのかい?
>>38
すまない、骨肉腫なんだ
でも本当に不幸中の幸いだと思う
主治医の先生に対して不満を抱いた記憶は一切ないし
転移がなかったのも本当に幸運だったと思う
それでも10日ほど無菌室にいれば白血球は回復した
それに隔離状態はそんなにキツくなかった
とりあえず白血球が減る分には自覚症状はないし、夜になれば浜田さんや綾ちゃん、新しく入ってきた同病仲間達が入れ替わり立ち代り遊びに来てくれてたからさびしくはなかった
そんなある日、無菌室にやってきた綾ちゃんは目が真っ赤だった
20にして5回も癌に立ち向かいこの世を去った従兄弟を思い出してしまった…
構わない、続けてくれ
ごめん、ガンって文字見ただけで誰かを思い出しちゃう人だっているんだよな
いくらアホな俺でもいつもみたいにゲームしてる場合じゃないって事はわかったから、綾ちゃんが話し始めるのをじっと待ってた
綾ちゃんはまだいくらか混乱してたが、途切れ途切れに何があったか話してくれた
綾ちゃんには凄く仲のよかった同病のがん患者さん(Aさん)がいた
その人には入院前から結婚の約束をしてた彼氏さんがいて、病気が治ったら結婚するんだ、って綾ちゃんに嬉しそうに話してたらしい
俺が入院するしばらく前にその人は退院したんだが、彼氏さんの両親に挨拶に行ったAさんはこう言われたそうだ
「そんな病気の人間と結婚して、子供に遺伝したらどうする」
「足が悪いらしいが、そんな母親では生まれてくる孫がかわいそう」
「ウチの息子をあなたと結婚させるわけにはいかない。諦めてほしい」
彼氏さんと一緒になる事だけを生きがいに治療に耐えてきたAさんは、鬱のような状態になってしまった
肝心の彼氏さんも親の言うことを優先してAさんを見捨てるような形で別れてしまい、結局Aさんはその後自殺してしまったそうだ
顛末をひとしきり話した後、綾ちゃんが泣きながらポツリといった
「私もきっともう恋愛も結婚も出来ないんだ。おっきな傷跡だってあるし、もし治ってもいつ再発するか分からないし」
その頃になると、俺は綾ちゃんが好きになってた
顔が可愛いって事ももちろんあるが、いつも笑顔で励ましてくれて、俺がキツくて動けない時に何回もご飯を作ってくれたりして、そういう優しいところが大好きだった
部活ばっかで女に縁がなかった俺じゃなくても、きっと彼女に惚れてたと思う
そんな綾ちゃんが目の前で泣いてて、自分には何も出来ないって状況が悔しかった
そして、自分でも意外な言葉を発してしまった
「そんなことない。俺、綾ちゃんのこと好きだよ。滅茶苦茶好きだ」
この後に続けて色々言ったはずなんだけど、完全テンパってて何言ったか覚えていない
綾ちゃんはなんかポカーンとしてた
ヤバい、やっちまった
ていうか俺何言ってんだ、終わった
そんな思考に頭が占拠されてた
何分も沈黙が続いた後、綾ちゃんが小さい声で言った
けどね、私達の好きって、普通じゃないかもしれない。
私達、同年代の子達とは少し違う境遇にいるよね。同じ病気の人たちもちょっと年離れてるし。
自分に一番近い相手に共感を抱いて、それを好きと勘違いしてるのかもしれないよ。
だからどっちかが退院して「外」の人になっちゃった途端、終わっちゃうかも。
それでもいいの?
>>37
小学~高校まで同じ学校だった先輩が骨肉腫だった
野球やっててホームラン打ちまくってて憧れの先輩だったんだけどな
>>1は生きててよかったな
>>48
そういえば入院時の同病者は不思議とスポーツやってる人ばっかりだった
>>49
ごめん、正しい定義は分からない
>>53
一応、手術後5年経ったら安全圏みたいなセオリーはある
けど7年後に再発して死んでしまった知り合いもいるし、正直今でも怖いよ
定期健診のときはいつもドキドキしてる
当時中2なの?中3なの?
すまない、中3が正しい
俺はこの話を聞きながら、この子は大人だな、けどその通りかもしれないなって思ってた
でもそれ以上に俺の事が好きだって言ってくれて嬉しかったし、もしかしたら綾ちゃんの言うとおりになっても退院まで1人ずつでいるより一緒にいたほうが絶対いい気がしてた
だから「それでもいい」って断言した
綾ちゃんはまたちょっと黙った後恥ずかしそうに笑って「これからもよろしくね」って言ってくれた