次の年の桜の季節、私は、夏美と桜の名所のお寺へ花見に行きました。
お寺の門で二人そろってお辞儀をし、手を清め、本堂でお参りをし、
そして満開に咲き誇る樹齢数百年という、大きな桜の美しさに目を奪われていた時のことです。
若い男性が面白半分で、思いっきり鐘をついたのか、体の芯まで響くほど大きな音がしました。
その衝撃が、私の心が息を吹き返すきっかけになったのでしょうか。
私と同じように驚いて、私の手を握る夏美を見て、「この女が何故未だ私の傍に?」
激しい憎悪が湧いて来るのを感じました。
その日から、私の中でぼやぁっとした世界に変わりはなかったものの、
もう一度証拠を得ようと、あの調査会社へと足を運んでいました。
応接室に通され、黒縁眼鏡の男性が入って来て、私を見るなり、
「ファイルの件ですね?また来て頂けると思っていました。」
その後は、協力頂いた方に迷惑がかかるかも知れないので詳しくは書けませんが、
送り主が分からぬよう偽装工作の上、証拠を関係各所へばら撒きました。
浮気相手の奥様がアパートへ乗り込み、動転した夏美は私の車で失踪。
数日後、巡回中の警官が、山道で車を停め、その傍らで蹲っている夏美を発見し、保護しました。
私は引き取りを拒否し、夏美の実家に連絡をし、義両親が引き取りました。
その後の話し合いの席で、私は感情を爆発させ、離婚届に署名をさせました。
その後、夏美がアパートまで来ているのか、郵便受けに手紙が入っていることがありましたが、
全て読まずに燃やしました。
アパートを引き払おうと荷物を纏め、引っ越し業者が荷物を搬出していたその日、
夏美がアパートへとやって来ました。
泣き叫び、謝罪を繰り返し、荷物の搬出を止めようとする夏美を見ても、全く心が動きませんでした。
動揺する引っ越し業者に、搬出の継続を指示しました。
搬出が終わり、空っぽになったアパートの真ん中で、呆然として座り込む夏美を無視し、
管理者に鍵を返し、部屋を後にしました。
あの日から、かなりの年月が経ち、歳を重ねました。
私の心が元に戻っているのか、良く分かりませんが、生きています。
慰謝料いくら取ったんだろ
創作、創作と言うけど、似たような話、同じような話は
日々どこかで起きているんだろうね。
ところで、間男には制裁を下したのかな?
ご質問にお答えします。
>>668
男とは、お互いに配偶者がいるのだから、一緒になることなど有り得ない。などと思い込み、
善悪の境界がおかしくなってしまっていた。そう言っておりました。
男の奥様に、アパートに乗り込まれ、証拠写真を見せられ、
「夫に不貞を正直に打ち明け、今後のことを考えるように。」
そう言われたところで初めて、取り返しのつかないことをしていた実感が湧いたとのことです。
信じられない話です。
>>669-671
夏美は会社から退職勧告を出され、心身共に衰弱していたのと距離の都合で、変な話ですが、
私と両親が夏美の実家に出向き、同僚の男を奥様同伴で呼びつけ、話し合いの席を設けました。
不貞を働き始めた時期が、夏美の後に申告させた男の時期よりかなり短かった時点で、
怒りが一気に爆発し、双方の両親が居るのにも関わらず、憔悴し切っている夏美を両親に止められるまで罵倒をし続けました。
慰謝料は、男に顛末書を書かせ署名捺印させ、、
奥様は離婚しか考えられない。そう言っておりましたし、育ち盛りの息子さんが居ることも考え、
慰謝料は100万で手を打ちました。
結局のところ、男が離婚したのか職場で処分が下されたのかは分かりませんが、
不貞が会社に知れ渡っているので、唯では済んでないと思います。
あの女の金など欲しくない。その気持ちが強かったので、
顛末書と離婚届を書かせただけで、本人からは一円も取っていません。
後日、夏美の荷物を引き取りに来た義両親から、改めて謝罪され、
気持ちとしてお金の入った封筒を渡されそうになり、固辞しましたが、
どうしてもということで、根負けし、封筒の中から束を一つだけ頂き、後はお返ししました。