確か、A君は19時に帰ると連絡があった。
「カナちゃんご飯食べていかない?簡単なもので良ければ作るよ」
大したおもてなしも出来ないのはお手伝い、…いや、姉として何だか不十分だ。
「ママに怒られちゃうからお気持ちだけで」
間髪入れずに断られる。
そりゃそうだ、流石に慮りに欠けたな 、と一瞬でばつが悪くなる。
「でも」
カナちゃんが毛先をくるくるしながら言う。
「楽しかった。今度はちゃんとさぁくんに許可を取ってきます」
「是非!」…彼女として来てくれたらな、と静かに期待した。
家の人と連絡もとれないなら、いくら約束したと言っても
家に上げるべきではないような・・・。
改めて来てもらうとか、そもそも来客には対応しないとかするべきだったのでは?
でも読んでる限りでは、人を疑う事を知らなかったんだろうね。
その通りです、猛省しています。
下記にもあるようにこれがもし危険な人だったらと後悔しました。
思慮というのは付け焼き刃では到底出来ませんね
帰宅したA君に数時間前の出来事を話した。
秘密で、とカナちゃんは言ったけど、…そうもいかない。
カナちゃんにも後ろめたくて、ジレンマを感じていた。
黙って聞いていたA君は少し笑って
「知っていますよ」
と言った。
「なんだ、秘密のつもりだったのか。昨日夕方会ったときに言われましたよ、家庭教師さん見に行ってやるって。どうせカナのことだから実行するだろうとは思っていたけど」
「勝手にあげてごめんなさい」
「押し掛けたのはカナだから謝らなくていいよ。ここは自分の家同然ですよ?母さんが生きてたら多分、そうしてたよ」
母さん、と聞いて動揺する。
亡くなったと聞いてから一度も触れてこなかった話題だ。
A君はいつも気丈で、人が自分に気を遣うことを特に嫌う。
先述のような失態を起こしても、「自分の家同然でしょう」と然り気無くフォローをする。
私が1つの出来事をひきずる性格だと知っていて、そうして場の雰囲気を悪くしないように気遣ってくれるのだ。
「あ、でもどれだけサンタクロースみたいな人でもそれは開けちゃ駄目だからね」
「どういう意味でしょうか…」
そんな冗談も交えてきちんと諫めてもくれる。
私にはその懐の大きさは真似出来ない。
どっちが年上なんだ、しっかりしよう。洗い物をしながら考え込んだ。
―母さん。
こんな良い子に育っているA君を産んだ人。
どれだけ素敵な方だったのだろう。
お会いしてみたかった。
一喜一憂しつつも、どんな意見でも受け止めますよ(`・ω・´)
感謝です。
街は様々な色の煌めきで溢れていた。
お店のポップは「恋人や家族」というワードが強調されて、BGMはマライア・キャリーやワムが延々と流れる。
世間はクリスマスイブ。
贅沢は出来ないけど、病気を患っていても食べられるレシピを探してクリスマスらしい料理にした。
掃除をしても時間が余ったので、まとめていた荷物を確認した。
「ただいま」
A君が嬉しそうな声を響かせる。
「本当に綺麗だ、ありがとうございます」
久しく聞けなかったこの家の主の声。
おじさまが退院した。
多少は脚色あるとしてもさ。
何か目的ぐあって作られてる様な気がする
のは俺だけ?
中には事実ぽいのもあるけど。
ま、結果としては読んでおもしろきゃいいんだけど。
会話は何となくで書いてるんじゃない?
その時の状況を思い出せれば、何しゃべってたかもなんとなくわかるもんじゃない?
この日時に何しゃべってたかじゃないんだし
うへぇおんなじこと書いてもた
私は細かく日記をつけていたので(非公開のブログですが)、それを読み返しつつ会話を補完し書いていますよ。
案外覚えていないものですよね。
あからさまに印象を操作しかねない脚色は控えています。
また、特定されかねない情報は少し変えています。
おっさんか…おっさんと思ってくれていいです!
食事も終え、久しぶりに三人での団欒を迎えた。
実家はクリスマスを決して祝わないので新鮮だった。(と言いつつ一番下の妹にはプレゼントを発送した)
「Aの成績がとても伸びたそうですね。ひとえに先生のお陰でしょう。ご迷惑はお掛けしませんでしたか?」
テーブルの向こうでおじさまがペリエを注ぐ。お
じさまは炭酸水が好きだとA君がよく話していた。僕には分からない、とも。
「とんでもないです!寧ろ私がご迷惑をお掛けしました」
「先生のお陰で私も安心して家を開けられましたよ」
ワムとか倖田來未とかおっさんが知ってそうな芸能人しか出て来ないw
でもテレビ見ない人もいるしわからない。
バイトと勉強ばかりでテレビに親しみなかったんです…(;;)
見てもお笑いとか映画だったし…
好きな歌手は浜田省吾さんだしおっさんと思われても何も言い返せないです……
あ、阿部真央ちゃんが大好きです
「そんなことは…」
言いかけた途端、
「先生!」
後ろからA君が顔を出す。
「これ、僕と父からの感謝の気持ちです」
と、シックな小袋を差し出された。
振り返るとおじさまが微笑んでいる。
「!?」
言葉が出なかった。