自分で真理を呼んだことなんかすっかり忘れて…
どこまで馬鹿なんでしょう。私は真理に
「真理…ごめんなさい私はとんでもないことしてしまった…
いくら謝っても許してもらえないかもしれない…
でも信一だけは取らないで…お願い」
と真理に見当違いなお願いをしてしまいました。
「圭ちゃん、真理ちゃんに失礼なこと言うなよ
俺とは何にもないって言ってるじゃないか」
真理も「私と信一君は何にもないよ、圭子しっかりしなよ…」
私は自分のした事も忘れ今目の前にいる
真理が私から信一を奪う人間にしか見えなかった
冷静な判断が出来ないほどの飲酒と罪悪感で
自分で自分の気持ちを制御できなかったのです。
真理はこのときの私は今までと同じ人間だとは思えなかったと言います。
逆上した私は真理に
「もういいから!お願い真理帰って…お願い」最後は泣きながら
叫んでいたように思います。
「圭ちゃん!いい加減にしろ!自分のやったこと分かってんの?
真理ちゃんの彼氏と浮気したのは圭ちゃんだろ!俺だって…」
と私を睨みながら信一は言いました。私はそのときの顔だけは
今でもはっきり憶えてます。悔しそうな悲しそうななんともいえない顔です
この一ヶ月何回も思い出しましたから
信一は立ち上がると真理に向かって
「真理ちゃん、もう圭ちゃんと話し合うことは何もないよ。
帰ろう送っていくよ」
「え…でも…」と言いながら真理は私のほうを向きました
私はもう泣き崩れていました。自業自得なんですけどね
立ち上がり真理の肩に手を置き「帰ろう」という信一に
私は思わずしがみ付きました。
「お願い…信一私を捨てないで、ごめんなさい」と繰り替えし
とにかく信一の足を離すまいと必死でした
そんな私を見る信一と真理の顔は哀れみと悲しみに満ちていたような気がします
信一は少しかがんで私の肩に手を置きました。
「圭ちゃん…圭ちゃん変わったね。俺は圭ちゃんが好きだったよ
でもね…圭ちゃんもう遅いと思うんだ。俺はこんなことがあっても
昨日までは目を覚ましてくれるんじゃないかと思ってたんだ。
でも、もう遅いよ…さよなら圭ちゃん」
その言葉にもう取り付く島もないと感じさせられました。
後悔と自責の念でいっぱいでした
私の足をつかむ力が弱まると信一は立ち上がり真理と一緒に
出て行きました。
私はそのまま何もする気が起きず、朝会社に体調不良でしばらく休むと告げ
しばらくあの晩のことを思い出しては一人泣いていました。
休んで三日目の夜、チャイムが鳴った
私はひょっとして信一かも?と思いましたが
そんな訳ないかと思いしばらく出ませんでした
しかし扉を叩く音が聞こえ声が聞こえてきます。
「圭子いるんでしょ?」真理の声でした
すいませんでした。ちょっとパソコンがおかしくて
私は扉を開けました。心配そうにこちらを見る真理がそこにいます。
私はこのとき初めて真理に心のそこから「ごめんなさい」と言えたと思います。
しばらく私が黙っていると、真理が
「お腹すいてない?」とコンビニで買ってきたお弁当やおにぎりを出してくれました
私は食欲がなかったのですが真理に悪いと思い食べました。
真理はしばらく黙っていましたが、意を決したように話し始めました
「圭子…もう信一君のことは諦めた方がいいよ。圭子も悪い事したことは分かってると思う
これ以上信一君を苦しめることは止めたほうが良いよ…
私のことは気にしないで、どうせあの男(元彼)は浮気性で圭子以外にも浮気相手いたから
遅かれ早かれ別れていたと思うし」
「…真理本当にごめん、私馬鹿だった…分かったときには遅かったんだね」
「そうだね…遅かったと思う。今は辛いと思うけど
明日からちゃんと会社来なよ、他の人も心配してる」(真理とは同じ会社です)
「…うん、ごめん」自然と涙が出てきました。
それから私は取り合えず信一に謝りたくて
真理に信一に会って話したいと伝えてとお願いしました
数日後信一から私に連絡がありました。
仕事終わり次第信一会社の近くの喫茶店であうことになりました。
そのとき私は今信一に会っても絶対に泣かないでおこうと
決めていました、でも喫茶店に入ってくる信一をみると自然と涙があふれ
信一が席に着く頃には俯いて涙をこらえるのが精一杯でした。
声が出ない、苦しいあわす顔がない信一が目の前にいるだけで
私は感情を抑えられませんでした。
必死に泣くのをこらえてる私に向かってようやく信一が私に話し始めました。