食卓に並んでいたのは
ウインナー、ハッシュポテトスクランブルエッグ、そしてパンだった
結局お父さんが近くのコンビニにパンを買いに行かされたらしい
ちなみにウインナーは昨日買ってきたもの
優「みてみてー!あたしが作ったのー!」
お父さん「全部焼いただけじゃ・・・」
優「うるさい」
優は家事オンチで
昔もそのことをよくお母さんにからかわれていた
いっただきまーす
みんなで食卓を囲む
優の作ってくれた朝ごはん
どれもすごく美味しかった
俺「これ、美味しい!」
優「愛が詰まってますからな!」
妹「あたし吐き気が」
父「俺も吐き気が」
優「ちょっとあんたら!」
あはははは、と俺は笑いながら
昔優が弁当を初めて作ってくれたことのことを思いだした。
これ、美味しいよ!
愛が詰まってるからだわww
同じやり取りをしていたことを思い出す
妹「俺さんなんで泣いてんの?」
俺は笑いながら泣いてしまっているようだった
見てるぞー支援
俺さんのお母さんは前日に車で会社に送らされてるのに家帰って来ないのとか心配じゃなかったんかな?
あと、こっちの世界の友達がそっちの世界で存在してなかったりするって言うけどそいつの家とかはあるのかな?表札が違う人の名前とか?
>>669
成人してかっら心配はされないかなww
>>672
家自体がなかった
存在していたとしても、それは俺の親友としてではないんだと思う
あ、みんなおはよう
「俺君お笑いの見すぎで笑うと涙が出てくる体質になっちゃったらしいよww」
妹ちゃんとお父さんは
「なんじゃそりゃww」
って笑ってくれてた
まったくいつからこんなに臨機応変なうそがつける子になったのだろうか
優に感謝した
優「急にだったからびっくりしたわー」
俺「ごめん、つい」
優「ついっておいwwさっきから香水見てるね。懐かしいの?」
俺「おう、俺があげたやつ棺桶に入れちゃったからさ」
優「ふーん、なんかありがとう」
俺「お前にお礼言われてもなぁ」
優「私代表ということでさwwあの香水あげようか?」
俺「え、でも」
優「大丈夫だよwあれ俺君が買ってくれたやつとは違うやつだからww何年経ってると思ってんのww」
俺「じゃあ、記念にもらおうかな」
もらった所で向こうに持って行けるのかもわからないし
自分が帰れる保証もなかったが
何故か俺はその香水に興味をそそられていた
俺が一目ぼれした形の容器そのものだった
メビウスの帯のようなその形がとても綺麗だと思った
優「それ匂いかがずに買ってきたんだよね?www」
俺「今考えるとチャレンジャーだよな」
優「たまたま好きな匂いだったから良かったけどね・・・」
俺「こんないい容器に入ってるのに変な匂いのわけがない」
優「俺君て本当にわけのわからない根拠で動くよね・・・www」
俺「そんなことねぇよ」
優「そんなことありますからwww」
優「んー?」
俺「こっちの俺が初めて好きだってちゃんと言ったのどんなときなの?」
優「え///急に何なの?」
俺「いや、気になるじゃん」
優「どんなんだったかなあ・・・」
俺「脅迫してたのは聞いてたけどさ
優「脅迫じゃありませんー!」
俺「で、思い出した?」
優「んー、正直今は思い出せないかなぁ」
好き、という言葉が当たり前になってしまうということが
俺には少し寂しく感じられた
優「ねぇ、デート行こっ」
俺「デート?どこにだよ」
優「○○駅の近くの駅ビル!」
俺「なんでそんな高校のころでも行けるような場所なの?」
優「よく言うよね、バスケばっかりであたしの相手なんて大してしてなかったくせにさ、エーンエーンオレクンガイジメルー(あからさま過ぎる嘘泣き)」
俺「わかったから!あの時はすいませんでした!駅ビル行きましょ!」
こうして駅ビルデートに行くのである
駅ビルに関して駅の反対側にあること以外は特段変化はなかった
ここにくると優は必ず最初にある店に行く
そう31アイスクリームだ
案の定優は俺の手を引いて31へずんずん進む
そんな優に俺は
ポッピングシャワー?ww
と声をかける
すると優は
まだまだ甘いねっww
と言いでこぴんをしてくる
店に着いた優が注文したものは
ポッピングシャワーのダブルだった
結局ポッピングシャワーじゃねえか・・・
の言うとうりだからちょっと会話のシーン削ろうぜ
そして序盤のわくわく感を又味わいたい
>>779
そうかー、優との会話いらんかー
じゃあまあ頑張る
その横顔を俺が見ていると
不思議そうな顔で んっ?とこちらを見てくる
俺が どうかした? と聞くと んーん、と言いまたアイスを口に運ぶ
向かいの店を見てみると
こちらの世界とは違う店が入っているようだ
何の店なんだろう?
看板を見て思い出した
ここは俺がプレゼントの香水を買った場所だ
アイスを食べ終えた優を連れて向かいの香水屋さんに足を踏み入れる
そこの店にはオムニアアメジストは置いてあるものの
オムニアクリスタリンは無いようだった
ここねー、しばらくクリスタリンおいてないんだよねー。だから通販で買うしかないんだぁ
と優が口を開く
6年という時間は、思い出が少しずつ減っていくには充分な期間だった
優はご飯のあとでいい!とのことだった
優の煙草吸ってる姿を思い出して少しニヤニヤしてしまった
あまりにも似合ってなくて
・・・ん?
ここであることに気付く
ちょっと待て、どういうことだろう?
いやー、気のせいか、気のせいだろうな
この場では自分の考えを否定し優のもとへ戻ることに
優の元へ戻ると小さな右手で携帯をいじっていた
おかえりっ、じゃあ行こう!
俺達はバイキングへ行くことに
席につき優の挙動をじっと見つめた
優はセルフで持ってきたコップを右側に置く
ちっぽけな疑問を優にぶつける
なあ、お前って左利き?
俺の知っている優は右利きだった
んーん、右利きだよっ、何で?
俺の心臓が早く打つのがわかった
お前、右利きだったのか?
左利きじゃないのか?
左利きじゃないかと言われると何とも言えないかなぁ
どうして?
だって昔は左利きだったんだもん
でも運動とかしてると右の方がが成績よかったから、右手で生活するようになって、今は立派に右利きww
俺は激しく混乱した
お前何かのきっかけで右利きになったんじゃないのか?
いや、本当に自然にじわじわとだよww
昔の記憶で曖昧な部分とかないか?
え・・・ないと思うけどどうして?
お前もしかして
こっちの優なんじゃないか?
は?何言ってるの?急にどうしたの?
最初に疑問を持ったのは車に乗せてくれた時なんだ
お前が車の運転をしてる時に
「左ハンドルって運転しにくい気がする」っていう言葉
あと煙草を右手で吸ってたこと
まあ煙草に関しては何とも言えなかったけどさ
そしてさっきの右利きという離し
一番気になったのは足だ
どうしてこっちのお前が優と同じ部分に傷跡があるんだよ?
いくら世界が違うからって勝手に傷跡が出来るなんて事があるのか?
なぁ、お前優なんだろ?
そうだろ?今まで何かの理由があって嘘つかなきゃいけなかったんだろ?なあ!
そうだよ
私はあなたの世界の優だよ
ごめん嘘ついてて
本当は最初に気づいてたんだ
でも俺君があたしのこと愛してくれてるか確かめたかったんだ!
じゃあ、一緒にもどろうか
優は笑みを浮かべた
俺は嬉しさで泣きそうだった
が次の瞬間優は真顔で
そう言ってほしいの?
それが俺君の欲しい答えなの?
ねぇ、俺君。
あたしは、あたしなんだよ
俺は自分の言った言葉が優の一番嫌いな類いの言葉だと気付き血の気が失せた
優は誰かに似てるなどと言われるのを物凄く嫌う
あたしはあたしだ、と
そんな優にあろうことか俺は優自身の存在を否定してしまった
ねえ、俺君
私から見たって俺君だって俺君じゃないんだよ?
冷ややかな視線、声
そんなつもりじゃなかったんだ
こう言おうとした俺だが言葉は出てこなかった
今まで見たことがないくらい
優の表情が辛そうで、悲しそうだったから
あたし、帰るね
そう言うと優は席を立ち、振り返ることもなく背を向けて歩きだした
俺はただただ遠くなる優の背中を定まらぬ焦点で見つめるしかなかった
空は少し雲があるが晴れていた
笑える、本当に笑える
せっかく会えたのに
あれほど望んだ再開だったのに
俺はまたあの時と同じ様に後悔している
何でこうなんだろうなぁ
あはははは、笑える
涙なんて出なくていいのに
どう我慢しても頬に落ちていく
家には誰もいなかった
俺はこの世界の俺から借りていた服を脱ぎ
こちらに来てしまった時に着ていたバスケの服に着替えた
俺はバッグを漁る
あった、きれいだなぁ
でもこれは俺が持っているべきじゃない
机の上にオムニアクリスタリンをそっと置く
やっぱりここは俺のいていい場所じゃあなかったんだ
忘れ物はないかな?
大丈夫だな、よし
俺は車に乗り込み家を後にした
俺がいていいかもしれない場所なんて限られている
信号に苦戦しつつも俺は優の母校である中学校へ向かった
日曜日で本当に良かった
敷地内には誰もいない
俺にとってはここだけが希望の持てる場所である
この3日様々なことがあった
色々ありすぎてすっかり疲れてしまった
・・・いや、この脱力感は俺の優に対しての情けなさから来ているんだろうな
そう自分のことを鼻で笑った
書き溜めしてないから遅くて迷惑かけてごめんな
急いで書く!
もし帰れなくても二度と会わないつもりだ
俺と優は一緒にいられないような運命にあるらしい
こっちの世界の二人は羨ましいなぁ
ああ、そうだ
もし帰れなかったら
自分で自分を終わりにしよう
そうしなければこっちの俺は出てこれないんだろうから
楽しかったなあ
すげー辛かった、悲しかった
でも思い返すと楽しかったことしか出てこねーや
あーあ、本当都合よくできた頭だな
あーあ、楽しかった・・・
そして俺は煙草に火をつける
煙草が肺に染み渡り気分が落ち着く
その時、校門から車が一台凄いスピードで入ってくる
敷地内では煙草を吸ってはいけないので
慌てて俺は火を消した
誰かが降りてくるようだ
面倒くさい・・・
どうせ学校の先生だろう
そちらを見ないようにしたが運転席の窓が叩かれる
舌打ちをしながら横をむく
そこにいたのはまぎれもなく優だった
なんでここにいるんだ?
そう思い動揺する
優は運転席のドアを外から開けるとほとんど叫ぶようにこう聞いてきた
どっち!?どっちなの!?
ごめん、まだあっちの俺だよ
その瞬間、優は俺に抱きついた
今まで感じたことがないぐらい強く、強く
まだ帰ってなくて良かった!
さっきはごめんなさい!
俺君が辛いのはわかってたの!
でもあたし馬鹿だから、だから、だから・・・
俺が悪かったんだよ
そんなに泣くなよ
あーあ、もう会わないつもりだったのに
そんなに泣かれたら
帰るの辛くなっちまうよ
あたしね、さっきはあんなこと言っちゃったけど
本当はそんなこと思ってない
俺君は俺君だけ
あなただけなの
まだ3日しか一緒にいないかもしれないけどさ
外見もこっちの俺君と一緒だけどさ
あたしは俺君が本当に好きだと思った
あなたのこと本当に大好きだと思った!
愛してる、愛してるよ
いなくなるのは寂しいよっ!
ダメだよ優
優にはこっちの世界の俺っていう大切な人がいる
さすがに俺は違う世界とは言っても俺のことは裏切れねえよ
でもな優
たった3日間だけど俺だって優のこと好きだ
大好きだ!愛してる!
これからだってずっと好きなんだと思うよ
やっと俺は初めて自発的に優に愛してると言えたんだ
距離が近づく
俺達二人は
ひぐらしの鳴き声の聞こえる車の中で長い長いキスをした
最期に見た優は冷たかった
でも目の前にいる優は温かかった
優は確かに存在している
そして俺も確かにここに存在していた
永い永い一時だった
引用元: ・異世界に行ってたっぽい
でも永い時間にも終わりは来る
俺と優の唇が離れる
優は泣きながら笑っていた
いとおしい、守りたい
でも俺は優とはなれなければいけない
辛く悲しく切なく、でもかけがえのない愛のあるキスだった
優でよかったよ
本当に良かった
生きていてくれてありがとう
俺君も二度と死のうとか考えちゃいけないよ?
あたしの最高の浮気相手なんだから・・・
優はアスファルトに泣き崩れた
俺はもう幸せな気持ちが顔からにじみ出ていたと思う
優、愛してる
さて、立てる?
こうして優を優の車に乗せる
優、敷地から出ていてくれる?
え・・・嫌だよ
お願いだよ、優
いつも俺の選択は間違ってないって言ってくれるだろ
ずるいよ・・・
大丈夫だよ、帰れる見込みなんてどうせないんだからさ
帰れなかったらラーメン食べ行こうぜ
味噌ラーメンじゃなきゃ嫌だよ?
わかったよ
そうしよう
ねぇ俺君
何?
またデートしようね?
もちろん!
色んな所行けるといいな
ね!じゃあ、外で待ってる
おう、よろしく
ねぇ俺君
何?優。
愛してるよ
俺も愛してる
行ってらっしゃい
行ってきます
優は校門から車で出ていった
景色はすっかり暗くなっていた
俺は車に戻った
帰れるのだろうか
そんなことは誰にもわからない
何をすればいいのだろうか
この前は寝てただけだ
そうだ、その前にメールしとこう
ごめんなこっちの俺、携帯借りるぜ
俺のこと信じてくれてありがとう
また会えて良かった
また会えるかな?
酒と煙草は控えめにな
それじゃあね
愛してる
あーあ、なんか眠くなってきた
すごく眠い
瞼が重い
携帯が鳴る
緩慢な動きになってしまった身体で辛うじて携帯を取る
はい・・・
俺君
メールありがとう
最初は信じられなかったけど、俺君を見てて嘘じゃないって思えたんだよ
俺君だって煙草吸いすぎだし
ビールばっかり飲んでたら太っちゃうからねっ
大好き
愛してる
うん・・・
俺も優に会えて良かった・・・
愛してる・・・
俺君帰っちゃ嫌だよ、嫌だ
おまえ・・・な・・・わがまま・・・言わないの・・・
でも・・・
大丈夫・・・・・大丈夫だよ
本当に?
うん・・・・・・
俺君がいうならきっとそうだね、信じる!
なぁ優・・・・・・・
なぁに?
ありがとう・・・・・・・・
俺君?俺君?ねえってば!
俺の記憶はここで途絶えた
深い深い眠りについた
頭が痛い
どのくらい寝たんだろう?
外は暗い
ここはどこだ?ああ、中学校か
また戻れなかったみたいだな
俺は車から出て優の車の場所へ行く
しかしそこには車はなかった
優帰っちゃったのかな・・・
そう思った俺の目に飛び込んできたのは
赤黄青の三色の信号機だった
ポケットに何かが入っていることに気が付く
そこに入っていたのは携帯だった
しかしiPhoneではなくXperiaだった
中学校の近所にある車もほとんどが右ハンドルだった
俺は帰ってきてしまった
みんなが楽しそうにはしゃいでいる
ケンカもしてる
そして恋人同士で仲良く飲んでいる
すごくすばらしいことだと思った
ただ、俺は一人だった
横町が閉まってからは公園でぼーっとした
朝になり
朝日が身体にあたる
訳もなく涙が出てきた
歩いて家まで帰る
本当に色々な事があった
夢だったのかもしれない
でも俺にとっては現実だった
俺は優のためにも生きていかないといけない
優は俺に色々なものをくれた
俺も何かあげられたのかな?
考えても仕方がない
無気力に生きてたって優に怒られちまうな
これから頑張ろう
幸せな姿で墓参りに行けるよう頑張らないと
家に着きみんなが寝ていることを確認して階段をあがる
部屋のドアを開ける
机の上には
朝日に煌めく香水が置かれていた
終わり
引用元: ・異世界に行ってたっぽい(2)