21:名も無き被検体774号+ : 2014/02/12(水) 20:54:57.42 ID: ID:aVjIbmRb0
文化祭前の学校の雰囲気っていいよな。
暗くなるまでどの教室にも明かりがついて、生徒たちみんながひたむきに創作活動に取り組んでて。
俺はクラスの装飾係になったので、割と早く仕事も片付き、家に帰ろうと準備していた。でもその時教室を見ると一人で黙々と出し物の看板を作ってる吉木さんの姿があった。
お世辞にも一人で終わりそうというレベルの進度には見えなかったし、それでもがんばる彼女の姿が
すごくけなげで印象的だったんだ。
22:名も無き被検体774号+ : 2014/02/12(水) 20:58:46.52 ID: ID:aVjIbmRb0
吉木「え・・・?あ、大丈夫ですよ?迷惑かけちゃいますし・・・」
俺「いやそれあきらかに一人じゃ大変そうだし、手伝うよ。」
半ば強引だったが、俺は彼女の向かい側に座って、看板製作を手伝った。
俺「ピンクはここでいいんだよね?」
吉木「はい、そうです。赤、使いますか?」
俺「お、ありがと」
吉木「あの・・・」
俺「ん?」
ま「俺くん、手伝ってくれて本当にありがとうです。あの時も出し物譲ってもらっちゃったりして・・・
俺くんにはいつも迷惑かけてばかりです。本当、ごめんね?」
俺「いいっていいって。俺も暇だしさww」
ありがとうですって言いまわしがなんだか面白くて吹き出してしまったのを今でも覚えてる。
なぜだかいつも敬語だったんだ、彼女は。
23:名も無き被検体774号+ : 2014/02/12(水) 21:01:44.53 ID: ID:aVjIbmRb0
遅くまでかかって作業も何とか終わり、そんとき教室に残ってたのは、俺、吉木さん、リア充、リス子(顔が
リスっぽい)の4人だった。
俺はクラスメートのリア充と、吉木さんは、リス子(第一印象がリスっぽい)と帰ろうとしていた。
そんとき、俺の隣にいたリア充が、こういった
リア充「なあ、この後4人でマックでも寄ってかねー?」
俺「!?」(リア充まじグッド!!お前マジサイコーだわ)
リス子「いいねえ!!いくいく!吉木っちょもいくっしょ?」
吉木「あのぅ・・・私なんかがご一緒して迷惑にならないでしょうか・・・?」
リス子「ちょwww吉木っちょオドオドしすぎwww」
吉木「す、すいません・・・」
俺「大丈夫だよ!せっかくだからいこ!」
吉木「はい!」
24:名も無き被検体774号+ : 2014/02/12(水) 21:04:13.11 ID: ID:aVjIbmRb0
多少文化祭テンション効果もあったのだろう。
こうしてリア充のおかげで、俺ら四人は駅近くのマックに寄ることになった。
ごく自然に吉木さんと帰れるわけだ。
こういうことが平然と言えるからリア充はリアルが充実してるんだな。
リア充はなぜだか道中、ずっとリス子の隣にいて、リス子としゃべっていた。
そのおかげで俺はずっと吉木さんの隣に入れた。ポジションってホント大事だよね。
今思えばこの時はもうリア充は知ってたんだな、俺が吉木さんのこと気になってるって。
マックでは、そのときポテトがどのサイズ選んでも150円っていうやつがやってて
ジュースとポテトのLを頼み、4人でポテトをトレーにだして食べた。
25:名も無き被検体774号+ : 2014/02/12(水) 21:04:43.95 ID: ID:aVjIbmRb0
「こうしてクラスメートと帰り道に寄り道して帰るの、私夢だったんです」
と目を輝かせながら言っていた。
吉木さんは、世間知らずで、どこか抜けていて、いつもビクビクしていて、
だけど、どんなことでもひたむきで、一生懸命で、頭ん中花畑でも咲いてるんじゃねーのかってくらい、天使のように優しい子だった。
26:名も無き被検体774号+ : 2014/02/12(水) 21:07:26.95 ID: ID:aVjIbmRb0
だって、本当に撫でたくなるようなサイズなんだもん。
どういう脈絡で撫でたかは覚えてない。
一瞬ビクッ!ってして、頬を赤らめながら上目づかいにほほ笑んでくれた。
吉木「頭撫でられるの私・・・好きです」
俺「吉木さんはちっちゃいからねw よくいろんな人が撫でてくれるでしょ」
吉木「ちっちゃくないです!!!俺くんなんかしりません」
俺「ごめんてごめんてwww」
その帰り道で彼女とたくさんの話をした。
進路の事や、将来の夢。気になってる人とかいるの?とか聞いたらいるって言ってた。
もしそれが俺だったらなぁって何度考えたことか。二人で並んで帰った駅までの道は本当に早く感じられた。
27:名も無き被検体774号+ : 2014/02/12(水) 21:10:02.31 ID: ID:aVjIbmRb0
吉木さんの衣装はとても可愛らしくて、すごく似合ってて、思わず見惚れてしまった。
後夜祭のバンド演奏を見てる時、図らずも隣には吉木さんが居て、
バンド演奏のときってすごく密着するじゃん
ギュウギュウ詰めになりながらものすごい二人ともすごく距離が近くて。
彼女の顔の近さに俺はバンドどころじゃなかった
バンド演奏見て興奮気味にピョンピョン小さな体を跳ねさせている彼女の横顔は、
言葉にできないくらいキラキラしてて、愛しかった。
「ああ・・・俺はこの子のことが好きなんだな」ってはっきり感じた。
本能的に、この子が欲しいって思った。
28:名も無き被検体774号+ : 2014/02/12(水) 21:10:35.02 ID: ID:aVjIbmRb0
俺のこの想いをを彼女に伝えたい、そう思うようになった。
文化祭が終わってからも、吉木さんとのメールのやり取りは続き、そろそろ告白しようかな?
なんて淡い期待を持ち始めた、そんな7月のある日のことだった。