日またぐつもりは無い
その街には高速が通っていたけど、その日は上に書いたように雪で通行止めだったらしい。
そんなせいもあってか下道にもトラックが溢れていたそうだ。
信号待ちをしていたA子達の車に、雪の降らない地域から来たチェーン未装着のトラックがスリップして追突
前の車との間に挟まれてペッチャコ だったらしい
A子はどうだったか聞かされていないけど、母親は少しの間生きていたらしい
だからといってどうということもないが、とにかく二人は死んじゃった。
母親の死に顔は見たが、A子は見せてもらえなかった。
どっからか沸いてきた葬儀屋に全部任せて、二人を同じ墓に収めた
A子の遺骨がまともに残っていなかったのは何でなんだろうか、未だに謎だ。
その後頼れる親戚もいなかったので、心配して度々家に来ていたB子に有希子の世話を頼み、いろいろな手続きや始末をしていた。
ある日変なおっさんがやってきて、「A子死んだんだろ?遺産は?」と言ってきた。
話を聞くとA子の父親だった。殺意を持って人を殴ったのはこれっきりだと思う。
その後警察を呼ばれて、見事俺逮捕
不起訴ではあったが、いろいろと噂が立っていてとても地元で暮らしていけるような状態ではなかった
あ、殺してはいない、ひ弱なので
日本語へたくそだからその後とか使いまくってるけど許せ
一連の騒動が上司の耳に入ったらしく、会社に来いと呼び出しを食らった。
会社に行くと、やっぱりざわざわ、まじ帰りたいと思った。
そして上司に「本社に行って来い」と言われた。
ハイパー本社まで出向いて説教かよと思ったが、断りもできないので出向く事に。
そして東京本社へ、でかさに驚く。
受付へ行くと、人事のお偉いさんに通された。
説教かと思いきや、意外な内容だった。
「話は聞いている、その分社じゃやりにくいだろうから、転勤しろ
子供のために早く帰れるように、変則労働制のところを用意した」
との事。
上司が本社に掛け合ったそうだ、涙がでた。
そして春になり転勤、まったく縁もゆかりも無い街だった。
残業代は出ないが、その日に割り振られた仕事を終えればいつでも帰れるというところだった
俺にとっては神のような制度だった。
有希子を保育園に送った後に出社、4時過ぎには仕事を終わらせて退社、保育園へ迎えにいった。
料理も覚えた、家事もがんばった。
気がついたら有希子も小学生になっていた。
有希子は俺の子供とは思えないくらいにかわいくて、いい子に育った。
母親のことも覚えていないようで、うちには母親が居ないというのを当たり前のように思っていたらしい
それを同級生に茶かされたりしたようだが、「だから何?」とまったく気にしなかったらしい
本当にいい子だ
中学校入学前になると、出会った当時のA子にそっくりになっていた。
身長は若干高かったものの、アルバムの中のA子と見比べてみたら、瓜二つだった。
もう終わらせる
有希子は陸上部に入り、いたって普通の中学校生活を送っていた。
この頃には少し帰るのが遅くなっていた。
帰ったら食卓の上に食べ終えたスーパーのお赤飯のパックが置いてあり、
相談相手になってやれなかった悔しさと申し訳なさでいっぱいになった。
そして進学 これも普通の高校へ進学し、陸上を続けてまた普通の大学へ合格した
高校卒業間近のある日、二人で飯を食ってたら「会わせたい人がいる」との事
うわぁまじかよDQNだったらどうしようわあああああとか内心焦りまくってたけど
「分かった」とだけ不機嫌っぽく返事をした。
そしてその週の休日
娘が男を連れてきた
おまえらみたいな奴だった
中1の頃からずっと清い付き合いをしているらしく、
勉強もできて割といい大学に合格が決まったとの事
もう少しオシャレをしたらどうだとだけ言って、寿司を頼んで、3人で食った。
その後も何度か彼氏君と会って、見るたびにイケメン化していくのが笑えた
「お義父さんに言われたので」と20キロのダイエットにも成功していた。
誰がお義父さんだ、でも憎めない
有希子もその彼氏もリーマンショック滑り込みセーフで内定をもらい、無事大学を卒業した。
そして半年ほど前に、結婚させてくれと言いに来た。
もはやただのさわやか会社員と化した彼氏
「ちなみに童貞か?」と聞くと「はい!」と元気良く答えた
有希子に思いっきり殴られた。
そんな二人もこの間式を挙げて、俺の元を去り同棲を始めた。
賃貸マンションがえらく広くなった。
今let it beを久しぶりに聞いて泣いた。
今度墓参りに行こうと思う
お前らだってイケメンになれるんだ あきらめるな
おしまし
再婚しようとか思わんかったの?
全俺が泣いた
よく頑張ったな
娘がイケメソと結婚したのはおまえがイケメソだからだ
そろそろ自分の幸せを優先してもいいんだぞ
れっといっとびーwwwwwwwwwwwwwwwwwwあるがままにwwwwwwwwww