ボク達三人が、ミドリの家で状況を説明しているところに
お義姉さんが帰ってきました。
昔の仲間の件については、片が付いたことを報告すると
とても喜んでくれて、その日は夕食をご馳走になることに。
メニューはカレーだっと思います。急に量を作ることになりましたから
豪華なディナーとはいかないでしょう。
それでも5人で囲む食卓は楽しいものでした。ミドリの笑顔をみるのは
数ヶ月ぶりでしたし。
ボクはその時の話の流れで、それから毎朝夕にミドリを
送迎することになりました。名目上はボディーガードです。
本当は、もう不要なんですけどね。
翌朝。
ボクはミドリの家へ向かいました。お迎え初日です。
そこでまた驚くわけです。いや、今度はいい意味で。
ボサボサだったロングの茶髪が、見事にショートになってました。
しかも、天使の輪を装備した綺麗な黒髪。もちろん制服も普通に。
そして、照れながらボクを見るとモジモジしながら……
「似合ってるかな……」
もうね、キュン死です。ボク。
奥からお義姉さんが出てきて、笑いながら種明かしをしてくれます。
「山下さん達が帰った後で急に美容院に行きたいって言い出して
もう大変だったんだから」
「スゲー似合ってます。超カワイイです!」
ミドリは顔を真っ赤にして、相変わらずモジモジしてる。
なんだかキャラが変わってるし。
お姉さんに急かされて登校することになったのですが
なんだか恥ずかしくて話ができません。
そのうち、ミドリから話を始めます。
去年の夏休みのことです。
彼女が劇的に変わったのは、カナブンの存在から過去の自分が知れ渡り
みんなが、自分から離れていくのが怖かったから。
しかも夏休みに入って、仲直りしたハズのボクからメールの1本すら
来なくなっていたので、自分はもう嫌われてしまったのかもしれないと
落ち込んでいたのにと。
(この件は、つくづく面目ない……自分がヘタレだったばかりに……)
おまけにお義姉さんまで、自分から離れていくことが分かり
もう、どうしようもなくなったせいで、あんな風になってしまったとのこと。
彼女にしてみれば、中学の頃にそんな風になった時には、お義姉さんが
必死になって自分を庇い、支えてくれたことがあったから、今度も誰かが……
と無意識に思ったのかもしれない。
それに……あの荒れた自分も確かに自分であり、それを隠し続ける
ことはできないと。
だから、自分が誰かを好きになった時には、いつかは伝えなければならない
ことだと、ずっと思っていたと。
彼女は、それを受け入れてくれる人としか付き合うことはできないと考えていたとのこと。
カナブン対策。やっぱり怖かったから。
とにかく誰かに傍に居て欲しかったから、言い寄ってくる奴を全て
オーケーしたらしい。
でも、すぐに手を出そうとする失礼な奴とは、二度と会わなかったと。
だから、結果として手当たり次第になったとも。
男遊びしてるようで
せくろすはしてないと?
>>531
という申告です。追求はしません(笑)
――
そういう事情だから彼らとは、噂になっているようなことは
絶対になかったということを、ボクにだけは信じて欲しいと言われました。
そんなに必死な目で見ないでも、そこは全力で信じますよ。はい。
「もし、そんなことがあったとしても
それは過去のことだから気にしないよ」
なんてカッコつけて言ったらスゲー怒られた。というか泣かれた。
「だから信じてって言ったのに……」
目にいっぱいの涙を溜めて言われてしまいました。反省。
そこで疑問。
なぜ最初からボクにカナブン対策をお願いしなかったのか、と尋ねてみると。
彼女は、ボクがきちんと告白してくれていたなら、何も問題はなかったのに
と拗ねた目で軽く睨まれましたね。
そうでした。告白どころか夏休みは、一度も連絡してませんでした……
すいません。
>>535
感謝
――
そんなわけで、彼女は学校にも毎日来るようになったのですが
勉強のキャッチアップは、少々辛いものがありました。
でも、一生懸命がんばると言うんで、昼休みのPCルームを使って
一緒に勉強しました。
ボクの苦手な科目は、虹ヲタとメカ夫が担当。
というか、ほとんどメカ夫におまかせ(笑)
コイツは、女性耐性がまったくなかったせいで、至近距離で女子に
見つめられると、それがミドリでもまともに話ができなかったんですが
しばらくすると普通に話せるくらいまで成長しました。
志願があり、一緒に勉強するようになったんです。
ボクとミドリは部活があったんで、昼休みだけでしたが、彼らは放課後も
PCルームで集まっていたようです。
実は、メカ夫は隠れた人気モノだったようです。
相手は、どちらかというと地味子さん系でしたがね。
でも本当にいい奴だし、イザとなるとヲタとは思えないくらい
頼もしいですから。
虹ヲタですか? まあ、それなりです(笑)