かよ「ふぇぇ・・・」
かよさんは声を出して泣き始めた。
俺は背中をぽんぽんと叩いていた。
さっきから、思ったんだけど、
かよさんが暴れる→俺、てんぱる→ある程度落ち着く→ちょっとヒマだな
的に感じるんだよね。
背中をぽんぽんしているときも、けっこう余裕があるんだよwww
何、これ?
俺、強くなったの?
以前なら、かよさんが大暴れし、俺は過呼吸になり、
地獄絵図になっていたような気がするんだがwww
そうなると救いようがないでしょwww
しばらくするとかよさんは無言になった。
ヒックヒックとは言ってるが落ち着いたようだ。
でも、そのまま抱きしめていた。
それから30分くらい経っただろうか。
かよ「ごめんね、ごめんね。ごめんねぇ」
と、またかよさんが泣き始めた。
でも、俺の方を向き直り、しがみついてきた。
俺も受け止めようとしたんだけど、かよさん、でかいっ!!!
そのまま俺は、受け止めきれず、一緒に崩れたwww
俺はしたからかよさんを抱きしめた。
重いwww
いや、かよさんは細いと思うよ?
でも、俺も細いし、身長差があるし・・・。
っていうか、人って重さがあるんだねwww
抱きしめるってのもリアルだと、体勢が気になったりするんだよな。
あと、女の子には、可愛い産毛が生えてたりする。
そこがフィギュアと違うところなんだよwww
フィギュアには産毛がないからな。
あと、女の子って柔らかいんだなぁ・・・って漫画であるけどな、
確かに、柔らかいところもあるけどな、固いところもあるんだぞ!!
こんな場面だけど、初めてかよさんを長時間抱きしめていて、
いろんな発見があったわ。
これも、さっきいった余裕の間に観察できたことだけどな。
かよ「もう、大丈夫・・・」
しばらくすると、かよさんは体を離し、立ち上がった。
かよ「ごめんなさい・・・」
かよさんは部屋を片付け始めた。
かよ「私、あんな風になったの初めて・・・。ごめんなさい。」
俺は何か、声をかけようと思ったけど止めた。
何を言えばいいのか分からないということもあったけど、なにも言わない方がいいかも、とも思ったからだ。
かよさんがあらかた、部屋を掃除し終えたときに、
俺「何か、食べに行く?」
かよさんは黙ってこくんと、頷いた。
俺達は、以前、行った中華屋へ飯を食いに行った。
中華やで飯を食ってるときに、晋作君から電話が来た。
晋「大丈夫ですかぁ?」
なんとも気の抜けた声だ。
なんか、ブラックロックシューターが後ろから聞こえている。
さすが初音ミク廃人wwwしかもmikumikudanceが一番好きらしいwww
一度、度下手なのを投稿して50もアクセスしなかったらしいからなwww
奴には俺の部屋の鍵を渡してあるから、一人で帰ったんだ。
俺のパソコンでニコ動を見ているらしい。
俺「落ち着いたよっ、なんとか!」
晋「よかったですや~ん。俺さん、一つ、小唄をプレゼントしましょう。」
俺「何?」
晋「『三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい』、ですわwww」
俺「はぁ?何それ?」
晋「まぁ、落ち着いたんなら、お邪魔ですわ。ほな、また、明日。今日は泊まりですよね?」
俺「そこまで決めてないけど・・・」
っていうか、電話が切れた。
晋作君という名前を彼につけたのは、
もちろん、彼が高杉晋作が大好きだからなんだよ。
「世に棲む日々」という司馬遼太郎の本に
高杉晋作が主人公で出てくるんだけど、
全四巻で、前半の二巻は吉田松陰が主人公なんだよね。
俺は、そこで挫折して、めずらしく、
司馬遼太郎作品の中ではまだ、読みきっていない作品なんだ。
で、後で聞くと、「三千世界の烏を殺し~」は高杉晋作が作った唄らしいんだよね。
飯を食って、部屋に帰ると、かよさんは、毒気が抜けたような、
もう子供のように無邪気というか透き通った表情をしていた。
なんだか、怖かった。
会話が出来ないwww
かよ「私、明日から、どうしよう?」
俺「え?どうしようって・・・」
明日から、希望しか残らないんじゃないの?
風俗も行かなくていい、AV女優になんてもちろんならなくていい。
生活費も学費もあるじゃないか。
かよ「もう少しでお金を返し終わって・・・、
そこからはお金をためて、そう思って頑張ってたんだけどなぁ・・・。」
俺は何も言えなかった。
かよさんが自分なりに頑張ってきたことが、嘘の上に成り立ってたなんてな。
それでも、これはかよさんの問題だもんな。
かよ「でも、私、後悔したくないんです。」
俺「・・・」
かよ「だから、頑張らなくちゃ、ですよね?」
俺「・・・・」
「うん」って言えばいいのか、「無理するなよ」と言えばいいのか・・・。
かよ「私、後悔したくない・・・。だから、自分に誇りを持ってたいんです。でも・・・。」
俺「・・・」
何も言葉が出てこないや・・・。かよさんに独り語りをさせてしまってる・・・。
でも、なんか言わなくちゃ。
一番、独りぼっちにさせてはいけない時じゃないのか?
なんか、もう、何が正しいのか、正しくないのか分からないし、
え~?今、言うの~?って自分でも思うけど、もう、俺の言えることは、
かよさんが好きだってことを伝えることしかなかった。
それだけは確信のある思いだった。
それ以外は、何を言えば分からなかったし。
だから、ここで、思いを伝えようと思ったんだ。
俺「かよさん。」
かよ「はい?」
俺「俺、かよさんのことが好きだ。付き合ってください。」
おお!!!我ながら、きょどらないでしっかりと言えた。
男らしくないか?俺?的な!!
でも、そんな俺とは対照的に、
かよさんは、これ以上にないくらい、複雑そうな表情をしている。
そして、ゆっくりと言ったんだ。
かよ「・・・無理です。」