私は、月曜から木曜までの出張がはいった週のことだった。お詫び行脚みたいな出張。もっとも私が土下座することはない。土下座は役員とか上司の仕事。私はスケジュールとか宴席の手配、話題のネタ集め(先方の趣味とか)、お土産の用意。
先輩「おお、元気か」浮気の後始末はどうしたとかは聞いてこない。忘れたか。
私「僕、来週、出張なんですよ。そうだ、たまには、先輩と元嫁でサークル同窓会しませんか」
先輩「いいよ、木曜がいいかなあ」
私「いいですよ。木曜は出張帰りですし。元嫁は大きな仕事を抱えていて、その納期が火曜日だと言ってたましたから。納品の日はいつものように打ち上げがあるみたいですが、その週の後半はいくらなんでも残業とかしないでしょ。」
なぜか、ぴんときた先輩A。有給とって探偵ごっごをはじめた(これも後で聞いた)
受付?「元嫁は。明日と明後日は、お休みをいただくことになっております」
先輩は、お泊まりだと直感。夜、両社の打ち上げから尾行。
3次会にいきたそうなメンバーと別れ、課長が帰る。そっちは駅じゃないよ、てなところで、課長の隣に現れる元嫁。
でホテルへはいる。先輩、写真パチリ。その日はラブホには泊まらないだろうと踏んだ先輩は、私の自宅に先回り。
元嫁、でてくる(先輩「普通、不倫って、スーパーの駐車場とかが待ち合わせじゃないの? わけわかんね」)。高速のる。途中まで車で尾行したけど、怪しまれそうなんでやめた。先輩、元嫁に電話。
先輩「ひさしぶりに、こっちに来た。夜とか時間取れない?」(と元嫁の職場の近くにいるふり)
元嫁「私くんは出張でいないし、二人はいやだよ。実はプロジェクトおわったので旅行している。そうそう、あなたの工場この辺だったよね。行き違いじゃん。○○山きれい。」
先輩ぴんとくる。この近くで○○山が見えるホテル、女の子が女の子らしい気分になるホテルってあそこしかない。
先輩と彼女、探偵ごっこに酔って、ブログの写真とるふりして、食事中の元嫁と課長をパチリ。
夜、先輩は駐車場に追い出され、窓を狙う。カーテン越しに裸の女性。後ろから男。かろうじてパチリ(私も見たが、角度悪いし逆光だし、全然元嫁にはみえない)。
木曜、先輩から電話「出張から帰るの何時?。会えないか」。部屋に帰ると、部屋の前にいる。
元嫁からメールあり。「仕事でトラぶって、私くんの出張帰りだけれど、おかえりなさいませができないよ。ごめんね。」
女の子から報告あり。ホテルチェックアウトしてそのままモーテルへ。車の中でのキス盗撮成功。ハッピータイム終了の夕方ぎりぎりにご出立。でも、高速、事故で渋滞しているみたいよ。
先輩「今日も仕事? 私くんも出張終わって帰ってきたというし。3人で会えないか」
元嫁「仕事片付けなきゃいけないから出れない」でもバックにFMの道路交通情報のラジオが流れてた。録音したのを、先輩は聞かせてくれた。先輩は放送時間を見計らって電話したみたいだ。
先輩は、証拠写真を机に並べ始めた。私、ようやく事態のみこめる。
「なんでA君(彼らは同級生)いるの?」
先輩「不幸なこいつといっしょに飲むためさ」
元嫁「なんで? 私くん、お詫び出張なのに失敗したの?」
先輩「Wはやめろと言ったよね。」
元嫁「なにそれ。知らない。」
先輩「これ見れる?」この板をみた今から思えば、不義密通の証拠には全然弱い写真だらけ(ラブホと車内のキスは一回だけだし)。
でも、本人にとっては、さっきまでそうしていた記憶がある。顔面蒼白。
先輩「だからWはやめろって言ったよね」
元嫁泣きだした。「さみしかった。赤ちゃんもごめんね。仕事に打ち込んで忘れようとした自分を課長は包んでくれた」。
私、ねじ一本飛ぶ。「ごめんなさいもなしに自己弁解かよ」。
で、半狂乱。そこらへんの皿とかコップとか携帯も投げちゃう。
先輩「おまえはこんな馬鹿だったのか」平手で元嫁をたたこうとする。
私「元嫁には手をあげないでください。僕も悪いんです。先輩も帰ってください。あとは自分らで話し合って決めます」。
元嫁「ごめんなさい」と言って泣く。つぎに「課長は包んでくれた、やさしかった」と言って泣く。そして「私くんも昔はそうだった。弟ではなくお父さんだった。でも、赤ちゃんが死んじゃってから変わった」と言って泣く。
そのうち、唇を切れそうなほどの力で噛みだした。上目づかいでこっちを見ている。
私「ほっておいて悪かった。ごめんな」
元嫁「ごめんなさい。私くんを傷付けた。忘れて。一からやり直す。私くんの妻としてがんばる、だから許して」
泣きながら、元嫁は寝た。まあ、2日間セクロスし続けだから。
お猿さんになっていた。
おはよう。朝だよ。私は、全然寝れなかったよ。
私「気持ちの整理がつかないから、お義母さんのところに行ってくれる。なんだったら、喧嘩しました。元嫁帰ってきても責めないでください、と僕から言ってあげようか。」
私「あれ、携帯ない。そうかきのう投げちゃったからか。元嫁の貸して」。
元嫁、何の躊躇もなく渡してくれた。私は、そのときは本当に、携帯借りて義母に電話するだけしか頭になかった。
そのときメール到達。課長からだ。
メール本文「元嫁ちゃんへ。二日間楽しかったよ。君も言ってくれたけれど、やはり心と心が通じ合っている人との交わりは違うね。
こんな気持ちになったのは、何十年かぶりだ。元嫁ちゃんともこれまで何回かしているけれど、昨日のが一番だった。これからももっと満たしてあげる。彼が帰ってくるといっていたけれど、また会おうね。」
またまた私の頭のねじが飛んだ。いい歳こいて、朝からラブメールよこすなんて。
私「お義母さん。相談があるのですぐ来てくれませんか」
元嫁「なんで人をまきこむの、わたしとあなたの関係でしょ。大げさにするともう戻れないかも。お母さん聞いたら、課長のところに怒鳴りこむに決まっている。彼はまきこまないで。」
そして、取り返しのつかない一言。「あなたが許してくれたら、もう課長と会うのはがまんする。だから許して」
私「え、がまんする? 昨日のごめんなさいは何。???」頭の中にかろうじて残っていたねじが全部折れた。
義母が来た。電話してから、長い時間だった。机の資料見る。私の持っている元嫁の携帯のメールを見たいというので、渡した。義母、しばらく読んでいる。
義母「あなったって子は。ついてきな」
元嫁「行くってどこ? 課長のところへは行かないで。」
義母「いいから来るの」
私、ぽかーん。ねじが全部とんでいるので、口をあけてみているしかなかった。
あとで聞いた話(私は家にずっといたので)。課長の会社に突撃。さすがは女手一つで元嫁を育て上げた行動力。
義母「課長さんいますか。この子の母です。あなたも知っているようにこの子は結婚しています。あなたとの不倫がばれて、旦那とは別れるそうです。責任とって下さいね」
部長?「ここではなんですから。男女関係のもつれはよくあることですし」
義母「部長さん。こんなメールもありますけれど。これって、パワハラじゃないですか」
メール本文「仕事はどんどん発注してあげる。それは、あなたがいい仕事しているからだよ。でも、あなたを好きな気持ち、仕事を口実にあなたと会えるのが楽しいという気持ちがないと言えばうそになる」
部長「君、仕事に私情を挟むのは、社会人としてやってはいけないことだというのはわかっているよね」
元嫁「違います。私が彼を誘ったんです。身体で仕事をもらってたんです」。あくまで課長をかばいたいようだった。逆効果のセリフだけれど。
部長「あなたが誘ったかどうかはどうでもいいんだよ。いやむしろ、あなたの身体と引き換えに仕事を頼んでしまっているとすれば、それはそれで同じ罪なんだよ。」
元嫁、泣き出してしまう。
部長「君は私物をまとめて今日は謹慎だ。この件について、会社としての結論はおって出します。あなたの娘さんと課長がどうなろうと、私どもの会社とはかかわりのないことです。おひきとりください。」
喫茶店に移動したらしい。
喫茶店に移動したらしい。
義母「課長さん。あなたの嫁に話していいですか」
課長「堪忍してくれ。もう会社クビになるわけだし、妻や子にどう説明していいかわからない」
義母「あれ、こんなメールありますけど。
メール本文「元嫁ちゃん。興信所を使っているがなかなか妻の素行がつかめないないようだ。でも、待っていてほしい。必ず、慰謝料とって別れて、君を迎えに行く。君も、彼との生活もレスだそうだから慰謝料も取れるよ」
あれ、こんなのもありますね。
メール本文「もう正直、妻とは疲れた。浮気していても、いなくてもう限界だ。まあ、この歳になると男はなんとでもなる。でも、元嫁ちゃんは苦しかったよねえ」
課長「もうやめてくれ、口説くときに心にもないことをいうのはよくあることじゃないか。それに、あの程度のシステムなんて誰でもできる。もう2年も続いたし、結婚は?と聞いてくるし、そろそろ切りにはいろうかなと考えてたよ」
元嫁、また大泣きはじめる。
義母「これでわかったでしょ。課長はあなたと再婚するつもりも、愛情もなかったってことも。いいかげん目をさましなさい。
課長さん。心冷やして悪かったですが、この子の旦那はまだ離婚を決めてはいません。
会社を首になるあなたをどうするかは旦那のほうで決めるでしょう。」
親子戻ってくる。ここから、私もかろうじて知っている話。
義母「(ざっと会社でのことを説明)この子も目が覚めたでしょ。で、許すか許さないかはあなたが決めることだから、ゆっくり決めてね。この子はしばらくうちで預かります。」
元嫁「ごめんなさい。私くんを裏切った。取り返しのつかないことをした。離婚という仕打ちも当然だと思う。新しい人をみつけて、幸せになって。
でも、あたしは今でも私くんが好きだ。あたしはもう一生私くん以外の男の人は好きになってはいけないんです。それがあたしの受ける罰だと思う」
私、放心状態のなか、元嫁と義母帰る。
修羅場っぽくないねえ。突入劇もないなあ。ツマンなくてごめんね、>>all。
今日は落ちます。
明日は、もう来なくていいよね。
ふざけんな
続けろ