6月になった。
梅雨と同じようになんとなくじっとりした、心地よくない気持ちだった。
けど大学はゼミも始まったりで相変わらず楽しかったし、真奈美の一件を忘れるように他の恋を探すようにもなってきた。
決して成功はしなかったけどw
けどやはりあれだけ好きだった女だ。
正直、真奈美は完璧すぎた。
嫌いなところなんて1つもなく、俺にとって間違いなくパーフェクトな女だった。
そんな女なんてほかにいやしない!
すぐに諦めがつくはずない!
その頃の俺はそう気づいていた。
一方でもはやどうにもならないのも事実で。
ジレンマを味わう毎日だった。
7月になった。
7月中旬以降は前期の考査が始まり、大学生ながら忙しい時期に突入した。
7月下旬には考査も一通り終わり、月末にゼミで飲み会を開催することになった。
試験からの開放感からかお酒は進み、すぐに酔っ払ってしまった。
そして家に帰って親と飲み会の話をしながらピザをほおばっていた。
確か夜の10時過ぎだった。
その時に携帯がなった。
忘れもしない。
メールの着信音は中山美穂&WANDSの「世界中の誰よりきっと」の着うただった。
メールは真奈美からだった。
信じられなかった。
内容は「今○○にいるんだ、1は何してるの?」と。
よく状況が理解できなかった。
とりあえずすぐに「ピザ食べてるよ」と返事をした。
明日続き書いてもいいかな?
おまたせ!
鳥とかつけたほうがいいのかな??
みんな保守ありがとう。
じゃ行きます。
真奈美からの返信は「そうだんだ。今一人で○○にいるんだけど、帰る気しなくてボーっとしてる」
だった。
俺は「そうかー。迎えにいってあげたい気持ちも山々だけど、珍しく今日は飲んじゃって・・
電車まだあるから帰ったほうがいいよ」と返した。
真奈美からまた返信が来た。
やはり唐突だった。
「そっか。まだ忘れられない?」
間違いなく真奈美は、俺が真奈美を忘れられないのを知っててこのメールを送ってきている。
あたりまえだろ!とか返事しようかと思ったけど、そうは返さなかった。
どうしていいかもわからなかったし。
「いいじゃんそーゆー話は」と濁して返事をした。
正直会いたい気持ちはあったが、その前に真奈美のお店に会いに行ったときに撃沈してたから、
いまさら会わす顔なんて無かった。
だからその時は当たり障りの無いメールをしていた。
けど次に真奈美から来たメールに俺は驚いた。
「今から会いたい。」だった。
正直、撃沈の思い出が頭をよぎってたので、今更あって何を話すんだ?と思った。
だが、真奈美の誘いを断る理由なんかないって感情もあり。。
気持ち的には5:5だった。
「今家だし、結構時間かかっちゃうよ」と返し、さりげなく今日は会わないという選択肢も匂わせた。
けど真奈美からの返信は
「いつまででも待つ。今日は帰らないし。だから来て」だった。
俺が行かないと言う選択をすれば、真奈美は一人(もしくは誰か他の人と)繁華街で一夜を明かすこととなる。
それなら俺が行って一緒にいようと必然的に思うはずだ。
ましてやそれが忘れられない人だったら。
俺は真奈美が待つ繁華街へ向かうことにした。
7月末のその日は確か土曜日だった。
終電に近い時間に電車に乗っても、そこまで沢山の乗客がいなかった。
俺はウォークマンでテンションのあがるクラブサウンドを聞いて気を紛らわした。
本来なら自宅から30分以上かかる道のりがあっという間だった。
俺は真奈美との待ち合わせ場所である駅前の交番に到着した。
真奈美は既にそこにいた。