修羅場は家庭教師の生徒の家で起きたこと。下書き無し。
当時の日記を見ながら書くので、スピードはちょっと遅めだと思う。
風邪でそこそこ体調が悪いので、書き込みが無くなったら寝落ちしたと思ってください。では、人物紹介から。年齢等は当時のもの。私：20代後半。男。家庭教師事業の責任者。以前は社長と同僚。
社長：40代半ば。男。学習塾と家庭教師の会社の経営者。以前は大手の学習塾で勤務。その学習塾で私の同僚（大先輩）
男性家庭教師：某教員養成系大学の３年生。１年後には教員採用試験を受ける予定。生徒：男子。指導開始時は中２。
母親：40代後半。介護のアルバイト。
父親：50代前半。誰でも知っている大手企業の社員。
兄１：生徒の兄。大学受験で２浪中。
兄２：高校２年生。
問い合わせの電話＞営業マンが家庭訪問、契約と先生の選択＞営業マンと先生が２人で家庭訪問して初回授業開始。
こんな感じ。
私の仕事は、この営業マン。
実際には、初回授業までに1.先生の募集、選抜 2.先生の研修 3.先生のお給料の支払い手続き
この３つをしなくてはいけないし、授業が開始されてからは
1. 生徒の家に電話して生徒と母親をフォロー 2.先生の携帯電話に電話をかけて先生をフォロー 3.社長に業務報告
生徒数が30人くらいまでは余裕でこなせていたけれど、50人に近づくと電話ばかりの毎日。生徒側から要望があれば、先生を何度でも交代できる、というシステムで広告を出していました。
でも、実際は交代が３人目になったときは私が直接指導に行き、実態を調査。契約を継続できない状態なら、打ち切りの判断を含めて決断を行う権限を社長からもらっていました。さて。
この生徒の家から問い合わせの電話がきたのはこの生徒が中２の夏。
ちなみに、契約を結ぶのは土日のことが多く、その報告を月曜にする関係で火曜日と金曜日が公休。「ちょっと性格に問題がある生徒かもしれないから、真面目な先生のほうがいいね。交代はナシ。どうしても交代が必要になったら私君が直接行ってね」
これが要約した社長からの指示。
「性格に問題がある」は母親がそう言っていたとのこと。
少し嫌な予感がしたが、当時は楽観的だった。
この授業を立ち上げたときに社長から「もし、問題を発生させる生徒と分かっている場合、それでも２回交代まで他の生徒と同じ扱いにするのか？」
を社長と話し合ったことがありました。結論は「実際にそのようなケースがあったら社長と相談。ルールが定まるまでは社長が判断」という内容。
「交代ナシ」という扱いは事業開始から100人くらいの生徒の中で初のケース。
それも、責任者の自分の意見を聞く前に判断されたことが少し不満。
ただ、「そろそろ、明確なルールを作ってこの問題もクリアにしたいからね。今回はテストケースだよ」
そう言われ納得。ま、社長が決断したなら着いていきますよ。
一緒に元の会社に辞表を叩き付けた仲だからね。契約のために実際に生徒の家に行ってみると、確かに問題がありそうな生徒がそこにいました。
この挨拶を、玄関のドアを開けた私の方ではなく、階段の上の方を見ながら言いやがったw階段の上の自分の部屋に誰か来客でもあるのか、と母親に尋ねたが、どうもそうでもないらしい。
とにかく人の目を見ない。なんだこりゃ。いや、人の目を見ることが苦手な生徒がいることは知っていたけど、たいていはおとなしい生徒。
かわいらしい女の子で、耳を真っ赤にして恥ずかしそうに俯いて、たまにおそるおそる顔をあげる。
そんな子は少なくないし、そもそも家庭教師って通常の塾に通うのに少し問題がある生徒たちがほとんど。
でも、どうやらコイツはそうではない。
体が私の方向から90度横を向いている。
横目でこちらを見て、すぐにため息をつく。それに加えて、母親もやたら学校の先生の悪口を言う。
最悪だ。先生の選択の方法だが、プロフィール用紙（顔写真付きの履歴書が一番近い）を見せて、選んでもらう、という方法。
たいていは５人の先生のプロフィール用紙を準備。そのうち３人分を見せて、選んでもらうことが多い。メインの３人はこんな感じ。みんな、他に既に生徒を抱えている経験豊富な部類の人たち。
・明るく楽しいタイプの男性家庭教師。大学３年。ラグビー部。
・厳しいタイプ。元中学校教師。40歳。
・もの静かなタイプの男性家庭教師。某教員養成系大学で学ぶ教師の卵。最初の先生では厳しくしつけられないだろうし、２番目の先生は、この母親と合わないだろう。
自分の中では最後の先生一択。「２番目の先生と３番目の先生がおすすめです」
と伝えたら、案の定３番目の先生を選んでくれた。生徒の家庭環境はかなり悪そうだが、ここまではとりあえず順調。
あとは家庭教師に行ってくれる先生のがんばり次第。
涙声で先生からSOSの電話がかかってきたのは、契約成立から１ヶ月後のことだった。理不尽なことを言われたらしいが、先生が混乱しているようで話が見えてこない。結局社長に相談。社長が先生をフォローをしてくれることになり、私が生徒の家に行って話を訊くことになった。「交代するなら、自分で担当。契約解消でもいいよ」
社長からの短い指示。今から考えると、この生徒は切り捨ててしまった方がよかった、と言えますが、当時は真相をしらない状態。
生徒側が契約継続を望むなら、最終的には自分で担当することをすでに心に決めていました。
この生徒は、実力診断テストの結果、小学５年生の文章問題を解く力が欠けていると判明。
２学期いっぱいを復習メインの期間。復習は５年生の文章問題から。
続いて中１の文字と式＞一元一次方程式。ここまでの復習が終るのが中２の冬休みくらい。
その後に中２の連立方程式。ここが終るのが中２と中３の間の春休みの予想。テストで点数の向上が見られるとしたら、３年生の１学期の期末テストが妥当。
２年２学期、３学期のテストで結果を出すためには最低でも１日４時間の家庭学習が必要で、それは実際には難しいだろうと伝えていました。生徒の部屋で120分（家庭教師の契約の時間）を過ごすと、細かいことが色々見えてきます。
当時のメモには
・勉強机が傷だらけ
・プリント、教科書がグチャグチャ
・ONE PIECE 3巻が２冊
・サッカー部は退部。でも将来の夢はプロ選手。当時は最後のメモが一番重要なメモだと思っていましたが、実は３番目のメモが一番重要でした。
これがある特徴だと知ったのは、１年半後。修羅場が過ぎ去った直後のこと。
やっぱり経験って大事ですよね。
この頃の私は、経験不足。
母親に確認すると「この子は中２。どうして小５の勉強をさせるのか」「あの先生（最初の担当の男性家庭教師）は狂っている」
という答え。あぁ、この母親、話を聞かない残念な人だ。翌日、本部に出社して社長に報告すると、社長から封書を渡されました。
消印は昨日。あの男性家庭教師からのもの。内容はこんな感じ。
・母親から、プランの変更を要求された。
・中２の生徒に小５の勉強をさせるなんておかしい
・母親は自分の意見が通らないと物を壊す性格。具体例：マグカップを床に投げつける、ぬいぐるみをハサミで引き裂く
・プランの変更を要求された時も、マグカップを数個破壊。上の者（おそらく私のこと）には口外するなと命令された
あー、これは強迫ですわ。社長曰く「精神的に不安定な人かもね。授業に影響が出るなら、切っちゃって良いよー」自分は精神的に不安定な母親の経験は不足していて、この件は貴重な経験をさせてくれる案件と考え、担当を継続することにしました。これを見ている塾業界の人がいたら忠告しておきます。
精神的に不安定な母親がいたら、全速力で逃げてください。
マジでヤバいです。ものすごい被害を一瞬で被ります。
中２の３学期くらいまでは特に大きな問題は無し。母親からプランの妨害がされそうになっても、毎回きちんと最近の実力テストの結果を見せて説明をすることで引き下がってもらっていました。
まぁ、生徒が前々宿題をやらないので成長のスピードは当初の予定よりかなり遅れていますが。
「ちゃんと説明すれば分かってもらえる」
そんな風に思っていました。
幻想だったんですけどね。ちなみにこの生徒の授業は週２回。
火曜日と木曜日の20:30〜22:00。
営業で母親と生徒に会うために一番重要な17:00〜20:00を空けておくと、どうしてもこの時間になります。
そう言って、母親からワカメ付きのオタマを投げつけられた。経緯は以下の通り。
生徒の筆箱から、他人の名前が書かれた真新しい消しゴムを発見＞持ち主に返すように言う＞
「もう２日も前にパクったから、返す必要が無い」
「いや、消しゴムが無くなったらこの人困っているだろ」
「いじめられるヤツが悪い」
「おい」
「トイレに行く」
ここで生徒はトイレに行かず、居間の家族に報告。
母親が血相を変えて勉強部屋に乗り込み、オタマを投げつけた。経緯は以上。長男は母親が何かを言うたびに小さく頭を振り、次男はなんとか母親を黙らせようと口を塞ごうとしている。
遅れて生徒と入ってきた父親は食事の途中だったのだろう。スプーンを持ったままだ。父親は慌てた様子で土下座をしたかったようだが、散らかった部屋なので適当なスペースが無い。
家具調コタツの側にあった座布団をはぐって土下座しようとしたら、下からエロ本が出てきてしまった。
その後も聞き取れた範囲では「これだから●大に行くヤツなんて嫌い（後で長男が受験していたと判明）」「盗んだものを返すとき、どれだけ惨めな思いをするのかお前には分からない」
と母親から非難され続けていた。「今日はもう勉強できそうにないので、終わりにしましょう」
「いや、謝らせてくれ」父親が泣きそうな顔で何度も頭を下げた。自分の父親と同年代の人から頭を下げられるのはさすがに気が引けたので、近所のファミレスで話を訊くことになった。
・生徒は小４の頃から数ヶ月に１回は捕まる万引き常習者。母親はそれを黙認していた。
・ここ１年は万引きで捕まることはなく、最後の万引きでこりたのだと思う
・私先生が来てから落ち着いたとも見えるので、受験が終るまでは面倒を見てほしい
・成績がよかった長男が二度受験に失敗したので、同じ大学に合格した人を母親が憎んでいる
・最近、別の家庭教師の会社に申し込んだが「もう受験魔で期間が短すぎて責任を持てない」と断られた。
・生徒の小遣いが多額なのは、万引き防止のため。もう私も責任が持てないと伝えると、父親から10万円を押し付けられた。
家のローン用のお金だが、今はあなたと契約を終らされないほうが大切だ、と何度も言われて受け取ってしまった。・次、問題が起きた時は契約を終了する。
・週２回を１回に変更。
この条件で、残り半年、受験まで面倒を見ることにした。週２回を１回に変更したのは、この生徒とは別に引き取った女子生徒がいたから。
その女子生徒は、先生にセクハラをして２人も家庭教師を引退に追い込んだ生徒。ただ、自分には懐いてくれているし、勉強もしてくれる。
これはまた、別の話。
秋にも「問題」一歩手前の事件があったけど、すっ飛ばして受験の話。
成績は偏差値39前後。最後まで上がりもせず、下がりもせず、だった。
結局、母親が「バカ校」「あそこに行くくらいなら中卒がマシ」と言っていた公立高校最底辺の高校（以下A校）の合格確率50％くらい。
私立はサッカーで県大会ベスト4常連高校（B校）が合格確率40％
ベスト8くらいの実力の、学力最底辺の高校（C校）で80％
サッカー強豪校ではない私立高校（D校）75％
B校とD校が同一日程なので、最終的にA、C、Dの３つを受験させると母親が決めた。
ただ、受験校を決定する直前の中学校での三者面談（母親、生徒、担任の３人で相談するもの。地域によって呼び名が違う）で、担任から「BとCは絶対に受からない。Dだけを受験しなさい」と言われたのを拒否したとのこと。
基本的に、受験に『絶対』なんてあり得ないことは分かっているので「担任に詳しく事情を話してもらうべき」と父親に伝えていたが、結局A、C、Dの３校の受験で決定した。
結果は「何か合格できない事情がある」と予想した通り、全敗だった。
その後、本部の電話に無言電話の嵐。私の携帯電話にも無言電話の嵐。
番号通知して無言電話するってどういうつもりだったんだろうね。
A校とD校に落ちた理由が、生徒が受験を欠席したからと知ったのはつい最近。
母親が事故死。遺書で私と社長のことが讒言されていて、そのことについて警察から事情を聞かれ時にわかったんだ。
当時は知らなかった事実を書く。
生徒は中２の夏休み直前まで更生施設に入所していた。
入所のきっかけは万引き、強盗事件。
近所のショッピングモール内の本屋で、友人たちと５人で仲間のバッグに数十冊の本を入れていたところを従業員に発見される。
手元にある本を従業員に向かって投げつけ、積んである本を豪快に床にばらまく。本を大切に扱おうとするほとんどのアルバイトなら、逃走は簡単だったらしい。
その時は従業員は本にかまわずに犯人に襲いかかり、一人を取り押さえる。
残りの４人は捕まった仲間を解放するために本屋に戻り、従業員を何度もボコボコに蹴り、鎖骨と肋骨を骨折する重傷を負わせた。
その万引き集団は先ほどの５人を含めて８人ほど。全員が同じサッカースクールの卒業生。高校生が３人で、彼らが通っていたのがB校とC校。
中学の担任が「絶対合格しない」と言っていた理由はこの事件ことを受験先が把握しているため。
母親は、点数さえとれれば、私立高校側に生徒の入学を認めない権利なんか存在しないと思っていた。
遺書に書かれた讒言は、事実とは異なり、時系列、人間関係がグチャグチャ。ただ、警察から見ると真実が重要なのではなく、恨まれていた事実のほうが重要。
「遺書の内容が真実とは異なっていても、その根拠が空想だったとしても、恨んだ人がいたことが重要。その恨みを共有している人がまだいるかもしれません。念のため、しばらくあなたの自宅と職場周辺の見回りを強化しますね」
「週刊誌でいじめ問題を扱うときに『遺書の中にいじめの犯人の名前が』みたいな記事があっても、すぐに信じないように。あの『いじめの犯人』があなたのことですよw」
別れ際の警察官の発言、うまく笑い返せなかったよ。
以上。
くだらない話で申し訳なかった。
質問がある人がいれば全部20字以内で答えるよ。
でも、いないよね？
>>949
母親は事故死とあるが、遺書があるなら自殺だよな？何故自殺なんかしたんだ？
>>956
この回答は20字では無理なので長くなります。
自分で決めたルールを破って申し訳ない。
この母親、明らかな自殺未遂の経験があります。（すっ飛ばした「秋の事件」のこと。詳しく書くとグロい内容なのでそこまではつもりは無いです）
一方で、遺体から異常な薬物（アルコール？もしくは薬物とアルコールの合わせ技？）反応があったらしいです。
警察からの事情聴取の中で、
特にその「秋」頃に薬を飲むところを見なかったか？
とか
水を飲む量は多かったか？
という質問をされています。（どちらも「わからない」と回答済み）
警察から聞けたのはここまで。
推測ですが「自殺の意思があった」ということと「実際に自殺をした」は別のことだと警察は考えているみたいですよ。
クラクラすると思って熱を計ったら38.6℃。
レス禁止されたことだし、これを最後に本格的に寝まーす。
最後に家庭教師に関わっている人にメッセージ。
・エリアマネージャーとか、家庭教師を指導する立場の人へ。
家庭教師の先生に「何か困っていることは無いか？」と聞いてあげてください。
そう聞いたときに、率直に答えてもらえるよう先生たちと信頼関係を結んでください。あなたがどんな力を持っているか、何ができるのかを短い期間で理解してもらい、彼らを助けてください。
最初に生徒の家に行くときに母親に「食べ物は必要ないですが、水で良いので飲み物を出してあげてください」って言ってあげましょう。
そうすると、初回はたいてい生徒の好きなお菓子が準備されます。好きな先生と好きなお菓子。その他生徒が望む環境をサポートしてあげましょう、生徒のモチベーションを上げてしまえば成績なんて簡単に上がります。
・家庭教師をしている人へ。
生徒をほめてあげましょう。ほめない先生が好きな生徒なんて、まず存在しないですよ。
それと、指導してくれる人に細かく報告してください。彼らはあなたの報告書を見て生徒の母親に電話をかけます。その報告書がそれこそ３行だと彼らは母親にあなたのことを高く評価させられないです。
彼らをうまく使いこなして、生徒と長く付き合えるようにしましょう。
初回に出てきたお菓子は「おいしい」と言って少し過剰なくらい喜びましょう。「先生が『このお菓子、めっちゃおいしい』って言ってたよ」と母親に報告する時、生徒も母親も笑顔です。この笑顔の価値は理解できますよね。
・生徒の皆さんへ。
お願いだから、宿題やってくれw
元家庭教師事業部の部長 より。
最後まで読んでくれた皆さん、ありがとう。
おやすみー