俺は浮かれていた。今度は女の子がいいなあと考えたりしていた
そんなある日に一本の電話がかかってきた
?「俺さんですか?」
俺「はい。どちら様でしょうか?」
?「わたくし、佐藤と申します」
俺「はい」
佐「実はうちの主人とあなたの奥さまが浮気したらしいのです」
俺「えっ」
佐「つきましては4人でお話を……」
後半部分はあまり耳に入ってこなかった
俺「いま電話があって」
嫁「うん」
俺「君が浮気してるって…」
嫁「えっ……」
あとは妻が泣き出し話ができる状態じゃなくなった
しばらくするとチャイムがなり佐藤夫婦が訪ねてきた
夫は俺を見るなり土下座し、妻はその背中を叩きながら泣いていた
夫「本当に申し訳ありませんでした!」
妻「もう!本当にあんたバカ!!」
とりあえず家にあげ、泣いている俺の妻を落ち着かせ話を聞くことにした
佐藤は妻が勤めていた会社の課長だった
一年ほど前(2人目を身ごもる半年ほど前)から何回か会っていたらしい
妊娠が発覚してからは、一切会っていないということだった
たまたま一緒にいるところを目撃した佐藤妻の友人からの連絡で発覚したらしい
しかし俺は突然の出来事で混乱していたため「とりあえず今日のところはお引き取りください」と佐藤夫婦を帰らせた
残ったのは俺と妻だけ。怒りもあったし悲しみもあった
ただどんな顔をして何を言えばいいのか全く分からなかった
床に額をこする妻の姿を見て、俺は泣きそうになった。幸せな家庭を築くことが幼いころからの夢だったのに
それがガラガラと音をたてて崩れていくのがわかった
>>61
すみません
>>62
そうだね。CDが出始めてすぐかな
妻はいっそう強く肩を震わして、しゃくりをあげながら
「あなたが完璧すぎて私は必要とされてないと思った。寂しかった」と答えた
自分は主婦なのに家事ができなくて、俺に負担ばかりがかかってるから
自分は相手にされないと思ったらしい
「本当にごめんなさいぃぃ」妻は涙と鼻水をボロボロと垂らしながら叫んでいた
「ごめん、ちょっと色々と考えさせてね」
それしか言えず、俺は部屋に籠もった
俺の両親はあまり仲の良い夫婦ではなかったので、自分のような惨めな思いは子供にさせたくなかった
ただやっぱり妻を二度と愛する気にはなれなかった
ある程度、考えをまとめてから妻のもとへ向かった。妻はぼうっと掃除機をかけていた
俺「君はこれからどうしたい?」
嫁「私には何も言う権利はありません。あなたの言うことに従います」
妻は俺の挙動に敏感になっていて、すごくビクビクしていた
俺「俺は離婚だけはしたくない」
俺の家庭への思いを述べた
俺はすべて話したあとに「ただこれは俺の考えだ。君が別れたいなら構わない」と言った
妻は何度も首を振りながら「あなたさえ許してくれるなら、償わせてほしい」と頭を下げた
これで終われば良いのかもしれないが、俺は妻に言わなければならなかった
「たしかに僕にも問題があったかもしれないけど、やっぱり君のやったことは許せない」
「子供たちがいなくなればそれで僕たちの関係も終わり。それでもいい?」
妻は何度も何度も頷いていた
佐藤夫婦は離婚した。慰謝料については丁重にお断りした
そしてあと一つ重要な赤ちゃんの問題については
俺は誰の子であろうと自分の子として育てると言った
佐藤夫はもしも自分の子供なら養育費だけでも払わせてくれといったが俺は断った
そして「子供とあなたは無関係な人間でいてくれ、将来においても一度も会わせる気はない」と告げた