その後もメイと彼氏は交際を続けてた
メイは卒業してある病院に勤務、住まいもその病院の寮に移った
彼氏も無事に就職した
そして去年の春、家に彼氏を連れてメイが帰ってきた
「私たち、結婚します」
だとよ
もうなんか彼氏がメイの尻に敷かれてやんの
それでもタカシくん(彼氏仮名)、顔真っ赤にしながら俺に
「かならずメイを幸せにします。おとうさん、娘さんを僕にください」だってさ
なんかね、もう俺むっつりしたままいるつもりだったのにね、泣いてんの
そのくせにね、バカなこと言ってんだよ
「俺はメイのお父さんじゃないよ、叔父だよ
ご両親にはちゃんと別にいるんだから」
いやほんとバカだな、わざわざ言わなくてもね
案の定、メイのやつ怒ったな
なんでわざわざそんなことの言うのって
「私にとってマサトおじさんはもう一人のお父さんなの。私には二人お父さんがいるの。タカシにもうそう説明してるんだからこれでいいの」
おとうさん だってよ
この時、初めて呼ばれたな
て言うか呼ばさなかったんだよ、兄貴と義姉さんに悪いしさ、メイにはちゃんと両親がいたんだってこと忘れないでほしかったからさ
もう俺、絶句して泣いた
書いてる今も思い出して涙出てきた、やばい
なんかタカシくんも泣きだしてね、もちろんメイも泣いてる
もう俺も含めて最初の堅苦しい空気はどこ行ったって感じでね
うん、幸せだなあってバカみたいに思ってたわ
後日、社長に報告しに行ったら、社長も奥さんも我が事のように喜んでくれてね
なんていい人たちなんだろう
ああ、気になっている人のために娘さんたちはこの時点で二人とも結婚済み
長女には3歳の男の子がいる
もう社長一家は親族みたいなもんだしね
体育会系の社長、タカシくん、次女旦那の3人は意気投合して酔いつぶれて大変だったな
奥さん娘さんたちはメイと長女息子を囲んでめちゃくちゃ盛り上がってた
俺と長女旦那はなぜか二人でしんみりと酒飲んでた
最後はみんなが俺のことお父さんお父さん呼んで囃したてやがってさ
うん、楽しかったよなあ
おっさんの長話、ごめんよ
もうすぐ終わる
先週、結婚式だったんだよ
レストランウエディングってやつ
それでもどっかから神父呼んでバージンロードみたいなのわざわざ作ってさ
メイの手を引いて歩くんだよ
涙こらえるの大変だった
きれいになったよ、メイのやつ
式と言うか披露宴もさ、メイとタカシくんの友達や社長娘さんたちが張り切っていろいろ準備してくれた手作りでね
和気あいあいって感じだった
タカシくんの御両親もざっくばらんな方たちでね
素晴らしい娘さんを育てられましたね、って言ってくれたよ
宴もたけなわってとこでさ、あれだよ、新婦からのお手紙だよ
新郎新婦がさ、まずは友達のところへ行って素敵な式をありがとうってやって
次に娘さんたちのテーブルへ
「長女姉ちゃん、次女姉ちゃん、お姉ちゃんたちのおかげで私はどれだけ助けられたでしょう
二人とも大好きな、本当のお姉ちゃんたちです」
ってさ、かなり省略したけど、でもって抱き合って泣いてたよ
タカシくんもそれみて泣いてた、なかなか涙もろい奴だよ彼も
俺も泣いてたけどな
社長ももう泣いてる、奥さんはニコニコしてた
「Kおじさん、今まで本当にありがとう おじさんが助けてくれなかったら私は今ここにいることはできませんでした
Kおじさんは、大好きなもう一人の本当のおじいちゃんです
Yおばさん、おばさんにはいろいろなことを教えてもらいました おばさんの料理、今でも大好きです
Yおばさんは、大好きなもう一人の本当のおばあちゃんです」
これもかなり省略してるけど、社長号泣
奥さんは「ずいぶん大きな孫娘だわ」って笑ってた