シチューの件を思い出すとちょっと今でも切なくなるな
ちなみにそれ以前はメイが自分から両親の思い出なんかを話すことはなかった
ずっと遠慮していたんだと思う
でもそれ以降はそんなことはなく、よく話してくれるようになった
それ以降は特に大きな出来事もなく高校進学
メイ16歳高2、俺30歳の年、マサトのおっさんにある出来事が起こる
なんとマサトのおっさんに彼女ができる
おっさんにとっては10年ぶりのカノジョである
期待に添えなくて悪いが、社長の娘さんたちではない
付き合う前に俺の家庭の事情については話していたし、付き合いだしてから何度か家に招待してメイと一緒に食事したりもした
ミキ(彼女仮名)とメイも仲良くなってなんか電話とかメールをしたりもしていたらしい
交際は1年ほど続き、本気で結婚を考えた
メイにもそう考えていることを話し、賛成してくれた
ある時なんぞ、メイの方から社長娘と土日は遊んでくるから、マサトおじさんもミキさんとデートしてきたら?なんて言いやがったこともあった
そんな有頂天なある日、ミキから恐ろしい質問が
「私とメイちゃんのどっちが大事なの?」
冗談混じりの問いかけなら良かったかもしれない
だけどあいにく、ごく真面目な問いかけだったようだ
なにこの腐ったドラマみたいな展開?
なんでそんなこと聞く?
なんで?
どうもマサトのおっさんは土壇場に弱いというかオロオロしてしまう
あの時はほんとに思考がショートしたかと思ったよ
選べるわけないだろ
頭の中で呟いたつもりが声に出てたらしい、しかもはっきりと
「うん、そうよね」
とミキは答えて、その後はなんでもないようにデートを続けた
そのデートから二日後、電話で破局を切り出されて終わった
やっぱ俺がメイにかまいすぎてるように思えて、我慢できなくなったんだと
うん、逆の立場なら俺もそう思うわな
理解できるし、なんか俺もあの問いかけをされてから急速に冷めたのがわかったからあっさりしたもんだった
ところがあっさりしなかったの姪っ子なわけだ
まあ妙に勘がいいというのか、やっぱ女だからか、
俺がミキと別れた、俺もミキもお互いのことが好きでなくなったから
なんて言い訳を信じない
やっぱり、どこかで自分が俺の足を引っ張ってるみたいな負い目を感じてたのかね
本当の理由は死んでも教えるつもりはないから押し切ったけど、のちにばれる
なぜならメイがミキに電話して直接尋ねやがったから
どんな内容の話だったか詳しくは分からないが、ミキにとってメイを大事にする俺に耐えられなかった的なことらしい
メイ、勝手に追及して撃沈
高3女子に泣きながら私のせいでごめんなさいとか謝られて俺にどうしろと?
泣き虫なのは大きくなっても変わらないなあ、と妙にさばさばしていたのは憶えている
とりあえず久しぶりに頭をなでてやりながら、何もかもひっくるめてメイのことを引き取ってるんだから気にすんなって言ってやった
それ以降、なにも言ってこなくなったがあいつのことだからまだ気にしてるだろうな
いやあ、なんかね、女心のわからんおっさんの自爆話になって申し訳ない
なんか改めて俺の恋愛スキルのなさに泣けるぜ
話を戻してっと
メイは高卒後の進路について、看護学校に行きたいと言い出した
この頃には遺産や保険金があるから進学するにせよなんにせよ、お金の心配と遠慮はするという話はしていた
その上で、自分がやりたいと思うことがあるなら行けばいいと思っていた
無事に看護学校に進学した頃、なんというかどういうか、ついにあれが来た
「彼氏、紹介したいの」
キタ、キタヨ、おいおい、おれどうしたらいいの
まあメイもハタチになった
彼氏の一人もいるだろう
なんかニヤニヤしながら携帯手にしてわざわざ外にでて電話をしてるのも知ってる
カベ薄いからな、うちは!
しかし、しかしだ、直に会うとなったら話は別だろう~~~
いかん、当時を思い出して動揺してきた
紹介された彼氏、22歳の大学生
ぶっちゃけイケメンではないが、なんと言うか人が良さそうなやさしい顔つき
ただし柔道をしているとかで体格はいい
体重70㎏の柔道選手って無茶苦茶いい体してんなった思ったわ
なんだな、さみしい限りだが、お似合いの二人だなって思った
3人でビール飲んで、なんか途中から社長と奥さんが乱入してきた酒盛りになったが、俺はうれしかった
メイも彼氏も社長夫妻も楽しそうだったしな