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71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:02:19.34 ID:IcNJnKVuO
「なんで浮気なんてしたの?」精一杯の声を振り絞って聞いてみた
妻はいっそう強く肩を震わして、しゃくりをあげながら
「あなたが完璧すぎて私は必要とされてないと思った。寂しかった」と答えた
自分は主婦なのに家事ができなくて、俺に負担ばかりがかかってるから
自分は相手にされないと思ったらしい

 

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:06:36.14 ID:IcNJnKVuO
「なんだよそれ……」俺は疲れていた。すべて夢ならとさえ思った
「本当にごめんなさいぃぃ」妻は涙と鼻水をボロボロと垂らしながら叫んでいた
「ごめん、ちょっと色々と考えさせてね」
それしか言えず、俺は部屋に籠もった

 

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:12:05.11 ID:IcNJnKVuO
普通に考えれば離婚だろう。ただ子どものことを思うとそれはしたくなかった
俺の両親はあまり仲の良い夫婦ではなかったので、自分のような惨めな思いは子供にさせたくなかった
ただやっぱり妻を二度と愛する気にはなれなかった

 

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:17:42.61 ID:IcNJnKVuO

ある程度、考えをまとめてから妻のもとへ向かった。妻はぼうっと掃除機をかけていた

俺「君はこれからどうしたい?」
嫁「私には何も言う権利はありません。あなたの言うことに従います」
妻は俺の挙動に敏感になっていて、すごくビクビクしていた
俺「俺は離婚だけはしたくない」
俺の家庭への思いを述べた

 

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:23:09.39 ID:IcNJnKVuO
妻はまた泣き出した。子供の話をするたびに自分がしたことの罪悪感で潰されていた
俺はすべて話したあとに「ただこれは俺の考えだ。君が別れたいなら構わない」と言った
妻は何度も首を振りながら「あなたさえ許してくれるなら、償わせてほしい」と頭を下げた
これで終われば良いのかもしれないが、俺は妻に言わなければならなかった

 

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:27:11.88 ID:IcNJnKVuO
「ただ、君と僕は夫婦ではない。あくまで子供たちの親として一緒に生活するだけだよ」
「たしかに僕にも問題があったかもしれないけど、やっぱり君のやったことは許せない」
「子供たちがいなくなればそれで僕たちの関係も終わり。それでもいい?」
妻は何度も何度も頷いていた

 

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:30:20.68 ID:IcNJnKVuO
俺と妻の話はそれで結審した。
佐藤夫婦は離婚した。慰謝料については丁重にお断りした
そしてあと一つ重要な赤ちゃんの問題については
俺は誰の子であろうと自分の子として育てると言った
佐藤夫はもしも自分の子供なら養育費だけでも払わせてくれといったが俺は断った
そして「子供とあなたは無関係な人間でいてくれ、将来においても一度も会わせる気はない」と告げた

 

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:34:59.15 ID:IcNJnKVuO
そして半年ほどで赤ちゃんが生まれた。俺の望んだ通りの女の子だった
ただもちろん心境は複雑だった。誰の子だろうが関係ないとは言ったが
むろん自分の子であるに越したことはなかった

 

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:37:02.79 ID:IcNJnKVuO
子の判定は血液で簡単にわかった
妻と俺はO型で佐藤夫はAB型だったからだ。生まれてきた赤ちゃんは無事O型でした
妻は俺以上に喜び「あなたの娘で良かった」と何度も言っていた

 

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:42:26.34 ID:IcNJnKVuO
それから俺と妻は日常に戻った。ただ二人の会話は必要最低限だった
もちろん性交渉など皆無で、俺自身も性欲を全く失っていた
子供が成長するにつれ、俺と妻は仮の部分で関わることが多くなっていった
しかし裏では全くの他人。自分が望んだこととは言え虚しさが募っていった

 

118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:46:01.72 ID:IcNJnKVuO
それからあっという間に日々は過ぎ、長男は高校を卒業し一浪の後に国立大学に進学した
娘の高校卒業が迫るなか、俺は決断を迫られていた
高校卒業するころには親の離婚は影響を与えないんじゃないかと考えていたからだ
もちろん学費や妻の生活費は面倒を見るつもりでいたが
こんな不毛な夫婦生活は続けたくなかった

 

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:50:06.48 ID:IcNJnKVuO
はっきりとした結論を出せないまま娘は高校を卒業し地元の国立大学へと進学した
ただ娘は自宅通学のため、俺と妻はまだ皮一枚ではあるが繋がっていた
そんなある日、娘がいつになく深刻な様子で話かけてきた

 

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:53:52.29 ID:IcNJnKVuO
娘「わたしお父さんとお母さんの話ぜんぶ聞いたよ」
娘「うんうん、お母さんを責めないで。わたしが話してほしくて聞いたの」
娘「だってお父さんとお母さんの様子がおかしいのは見ればわかるもん」
娘「昔からそうだったよ。表面上仲良くしてますって感じだった」
娘「気のせいかとも思ったよ。だって本当に仲良さそうにも見えたもん」

 

136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 14:57:55.14 ID:IcNJnKVuO
娘「お父さんが怒るのも無理ないと思う。わたしもお母さんがそんなことしたって聞きたくなかった」
娘「お母さんも許してもらえなくて当然だって言ってた」
娘「でも今のお母さんはお父さんのことを凄く愛してるし大切に思ってるよ」
娘「お母さんと買い物いくと、これはお父さんが好きだから、これはお父さんが嫌いだからってお父さんの話ばかりしてるんだよ」

 

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 15:03:17.77 ID:IcNJnKVuO
娘「お母さん、そんな風にお父さんの話するときすごく嬉しそう」
娘「お父さんが誕生日プレゼントにあげたエプロン大事にしてるし」
娘「それにちょっと恥ずかしいけど、わたしはお父さんもすごく良いお父さんだと思ってるよ」
娘「そんなお父さんとお母さんが本当は仲悪い…なんて……」
娘がポロポロと泣き出した

 

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 15:08:35.74 ID:IcNJnKVuO
「お父さんはやっぱりお母さんのこと嫌い?」濡れた声で訊ねてくる娘に、俺は何も言えなかった
妻がそこまで自分を思ってくれていたこと
自分の浅慮を子供に見透かされていたこと
そのことが子供の負担になってはいなかったか?
色々なことが寄せてきて、何も考えられなくなった
とりあえず一人にしてくれと娘に頼むのが精一杯だった

 

161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 15:14:17.36 ID:IcNJnKVuO
おそらく事件後の妻は世間一般から見ても非常に優秀だったと思う
生活費を多めに渡してたとはいえ一度も追加の請求が来たことはないし、全く無駄遣いもしてないようだった
苦手だった家事も克服したどころか、子供は妻の弁当はすごく評判が良いと言っていた
子供たちのために離婚はしないと言ったが、立派に育ってくれたのは間違いなく妻のおかげだった

 

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 15:18:21.45 ID:IcNJnKVuO
それならば妻を許すべきなのか?
だがそうしたら、あのとき感じた悲しみや怒りはどうなる
あの日の自分の気持ちを騙すのか?
理由があったとはいえ、妻は自分以外の男を一時的にせよ愛していたんだ
色々なことが頭をよぎった

 

174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 15:22:04.39 ID:IcNJnKVuO
さらに全く論理的ではないのだが
ここで許してしまうなら、最初から全てを受け入れていればもっと幸せになれたんじゃないか?
妻を許すということは、事件後からこれまでの人生は全て無駄だったんじゃないか?
果たして許したとして俺はどうしたら良いのだろう
などの苦しみもあった

 

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 15:26:39.71 ID:IcNJnKVuO
結局また俺は結論を出すことができずに、灰色の日々を過ごしていた
意識的に何度か妻へと話しかけてみたものの、ほんのわずか驚いた顔を見せた後に俺が惚れた笑顔を見せる妻を見ると
様々な感情が爆発的に体内を駆け巡り泣き出してしまいそうになり
全くどうして良いのかわからなかった
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matomeja



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